ダイエット法

骨盤ダイエットの方法と効果~骨盤を矯正しても痩せない理由~

数年前から突如話題になり、未だ産後の女性を中心に人気の『骨盤ダイエット』について説明します。

結論から言うと、痩せる根拠もなく色んなところに矛盾を孕んでいるダイエットなのですが、ネット上には誤った情報やステマサイトが多いので、誤解している人も多いと思います。

なので是非この記事を参考にしてもらえたらなと思います。

骨盤ダイエットとは?

まず、骨盤ダイエットがどんなダイエットなのか、どういう理論で痩せると言われているのか、
その概要について説明していきます。

結構突っ込みどころが多いのですが、
とりあえず世間一般で言われているものを見ていきましょう。

骨盤ダイエットとは、
「骨盤の歪みを矯正することで基礎代謝を上げたりポッコリお腹を改善する」というものです。

何故骨盤の歪みを直すとダイエットに繋がると言われているのか?

では、何故骨盤の歪みを直すのがダイエットに繋がると言われているのか説明します。

理論としてはこのようなことが唱えられています。

~骨盤ダイエットの理論~

骨盤が開いたり歪んだりすると内臓が下がる。

そのため、内臓により下腹部が膨れてポッコリお腹になってしまったり、
内臓が圧迫され血流が悪くなるため基礎代謝が下がってしまう。

つまり、逆に骨盤を締めたり矯正することで内臓が適正の位置に直るため、
お腹が引っ込んだり基礎代謝向上に効果がある。

 

まとめると、骨盤を矯正することで内臓が適切な位置に戻り、

  • 基礎代謝向上
  • ポッコリお腹の改善

この2つが見込めるということですね。

どういう風に骨盤を矯正するのか?

  • 仰向けになって足や腰を動かすエクササイズ、骨盤体操をする
  • 骨盤ベルトで骨盤を締め付けて生活する
  • バスタオルなどを腰に引いて寝るという骨盤枕ダイエット

などなど、様々な方法が提唱されており、
「誰でも簡単にできる」ということを謳っています。

骨盤ダイエットが痩せない理由

さて今回の本題ですが、
この骨盤ダイエットが痩せない理由について説明してきます。

これについての理由は主に2つです。

  • 簡単に基礎代謝を上げる方法は存在しない
  • そもそも骨盤は通常歪んだり開いたりしない

簡単に基礎代謝を上げる方法は存在しない

最近のダイエットは何でも基礎代謝と結び付ける風潮にありますよね。

代表的なのが、酵素ダイエットロングブレスダイエット筋トレヨガなど。

基礎代謝という概念を持ち込んだら信憑性が増すので便利な言葉なんでしょうが、
そもそも成人した人の基礎代謝というものはそう簡単に上がるものでは無いのです。

少し説明が長くなるので、
基礎代謝について詳しい理由が知りたいという人だけ枠の中を見て下さい。

~基礎代謝を簡単に上げる方法が存在しない詳しい理由~

基礎代謝は標準的な体格の人で大体1200Kcal~1500Kcalです。

この基礎代謝の構成は以下のようになっています。

■基礎代謝の構成
・筋肉(骨格筋):21.6%
・脂肪:4.0%
・肝臓:21.3%
・脳:19.9%
・心臓:8.6%
・腎臓:8.1%
・その他:16.5%

基礎代謝は全身のあらゆる器官を正常に機能させるのに必要なエネルギーなので、
血流を良くした、筋肉を付けたなど、一部の要因で大きく変化することはないのです。

ここで筋肉を付けることによる基礎代謝の例を挙げましょう。

筋肉が担う基礎代謝はおよそ全体の20%(250~300Kcal)で、
筋肉1Kgが担う基礎代謝はわずか約13Kcalしかありません。

そして、1Kgの筋肉を付けるのも一朝一夕にできるものでもないですし、
さらに脂肪を減らすことを考えながら筋肉を付けるなんてまず不可能です。

基礎代謝の多くを担う筋肉でも、
大きく基礎代謝を増やす要因にはなり得ないので、他は一層無理というわけです。

ちなみに、筋肉とダイエットの関係を以前もっと詳しく説明しているので
是非こちらもご覧ください。
筋トレが痩せるのに効果的という嘘について~筋肉とダイエットの関係~

骨盤ダイエットは、内臓が圧迫されることで悪化した血流を改善し、
基礎代謝を正常に戻すというものです。

そもそも、基礎代謝に大きく関わるほど血流が悪くなるって、
ダイエットどころではなくですね、それはもう深刻な病気です。

骨盤は通常歪んだり開いたりしない

まず前提の、
「骨盤が開いて内臓が降りてくる」
という説明の時点でこのダイエットは間違っています。

確かに骨盤を支える筋肉の衰えなどで骨盤の位置が前後左右に傾いてしまうことはありますが、
骨盤自体は内臓が降りてくるほど歪んだり開いたりするものではないのです。

骨盤というのは、靭帯によって強固に固定されているので、
病気でもない限り骨盤自体が歪んだり開いたりしません。

肘や膝の関節とは異なり、骨盤は日常生活で動かす必要が無いので、
考えてみたら何となくわかると思います。

骨盤が動くのは女性の出産くらいですね。

女性は出産に向けて骨盤の靭帯や筋肉、恥骨結合を緩めるホルモン(リラキシン)を分泌し、
普段は頑丈に固定されている骨盤を緩めて赤ちゃんが通れるようにします。

しかし、その場合でも出産が終わると時間とともに骨盤も元の状態に戻りますし、
これが原因で内臓の位置が変化することもありません。

つまり、内臓が降りてくるわけではないので、
骨盤の状態というのはダイエットとは関係ありません。

ポッコリお腹の正体は「骨盤の歪みで降りてきた内臓」ではなく、
それはただの脂肪なんです。

そもそも、内臓の位置というのは先天的な特徴で、
変化することはほとんどありません。

胃下垂であったり、何らかの要因で内蔵の位置が一般的な人とは異なる人もいますが、
生活習慣など後天的理由で内臓の位置が変化することはほとんどないのです。

あとがき

以上、骨盤ダイエットが痩せない理由についてでした。

まとめると、骨盤ダイエットの前提「骨盤が歪むと基礎代謝が下がったりお腹が出る」
というのが間違っていたので、骨盤を締めるダイエットをしても意味が無いということです。

基本的にダイエットというのは理論的にはそんなに複雑なものではないので、
理解が難しい『基礎代謝』などのような概念が関係するものは怪しいと思ったほうがいいですね。

他にもダイエット食品や、サプリメントなども信憑性があるものはほとんどないので、
これらを薦めるサイトというのはほぼステマだと疑ったほうがいいです。

さて、骨盤ダイエットを実践する人の多くは、
産後のダイエットとして取り入れる人だと思います。

しかし、骨盤ダイエットに効果が無いということが分かった今、
産後のダイエットはどのようにすればいいのでしょうか。

このことに関して記事を書いたので、是非こちらもご覧ください。

産後ダイエットの正しい方法

著者プロフィール
テク

テク

元ボクサー/ダイエットアドバイザー
試合の度に2週間で6Kgの減量をしていた元ボクサー。 元来の『食べることは好きだけど面倒な運動は嫌い』という性格がたたり、引退後は10Kg以上増量。 正しいダイエットの知識を身に着けた今では、毎日好きなものを食べて体脂肪率10%台前半を維持。 Twitter(@yasetech)ではダイエットに役立つ情報を配信中。
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