ダイエットの基礎知識

「筋トレで基礎代謝が上がり痩せる」は嘘!筋肉とダイエットの関係について

最近のダイエットでは「筋トレをして筋肉を付け、痩せる体質にするのが効果的」と言われる風潮にあります。

筋トレをすると基礎代謝が上がり痩せやすく太りにくくなるため、リバウンドもしにくいとのことです。

しかし実は、これには全くのデタラメです。

筋トレ自体はダイエットにおいて重要な役割がありますが、筋トレをしたからといって基礎代謝が上がることはありませんし、筋トレだけで痩せるのはとても困難なのです。

今回は筋トレで基礎代謝が上がらない理由に加え、ダイエットにおける筋トレの正しい役割を解説します。

筋肉をつけると痩せやすいと言われている理由

まずは一般的に言われている、
『筋肉をつけると痩せる体質になる』と言われている理由を見ていきましょう。

ダイエットにおいて脂肪を落とすには、
『消費エネルギー>摂取エネルギー』とする必要があります。

そして消費カロリーは以下の割合からなっており、
大半が基礎代謝によるものです。

消費カロリー=基礎代謝(70%)+生活代謝(20%)+食事誘導性代謝(10%)

ちなみにそれぞれの消費カロリーは以下の通り、

消費カロリーの種類

  • 基礎代謝:何もしなくても消費するカロリー
  • 生活代謝:活動によって消費するカロリー
  • 食事誘導性熱代謝:食事で消費するカロリー

ちなみに、基礎代謝の平均は女性は1000~1300Kcal程度
男性は1400~1700Kcal程度です。

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筋肉は基礎代謝の一部を担っているので、
筋トレで筋肉をつけると基礎代謝が上がり、ダイエットに効果的。

これが一般的に言われている筋トレダイエットの理論です。

他にもダイエットにおいて基礎代謝を上げる方法として、
様々なダイエット法が提唱されています。

しかしこの理論には間違いがあるのです。

筋トレダイエットの3つの間違い

上記の筋肉をつけて痩せるダイエットの間違いは主に以下の3点です。

筋トレダイエットの3つの間違い

  1. 筋肉が担う基礎代謝は多くない
  2. ダイエット中に筋肉を増やすのは非現実的
  3. ダイエットをすると基礎代謝は減るのは避けられない

【筋トレダイエットの間違い1】筋肉が担う基礎代謝は多くない

基礎代謝が1日の消費エネルギーの大部分を占めるというのは間違いありません。

しかし基礎代謝はあらゆる組織の代謝が関与するため、
筋肉の代謝は基礎代謝のごく一部に過ぎないのです。

では具体的に、筋肉の代謝は基礎代謝の何割なのでしょうか?

体の各組織が担う基礎代謝は以下の通り。

基礎代謝の構成

  • 筋肉(骨格筋):21.6%
  • 脂肪:4.0%
  • 肝臓:21.3%
  • 脳:19.9%
  • 心臓:8.6%
  • 腎臓:8.1%
  • その他:16.5%

参考:国立健康・栄養研究所ホームぺージ

筋肉は基礎代謝のわずか1/5程度にしか影響しないのです。

基礎代謝1200Kcalの女性は240Kcal程度、
基礎代謝1500Kcalの男性は300Kcal程度。

さらに、臓器1kg・1日当たりの代謝量として「筋肉(骨格筋):13Kcal」とあるため、
筋肉を1Kg増やしても基礎代謝は13Kcalしか増えないということです

ただしこれは筋トレによって“筋肉だけ”が増加した場合であり、
実際には筋トレにより他の臓器の重量も増えます。

そして、筋トレにより“除脂肪量”(脂肪以外)が1kg増えたとき、
代謝は50Kcal程度増えるそうです。

参考:筋肉が1kg増した時、基礎代謝量は何kcal増すのか?|国立健康・栄養研究所ホームぺージ

まぁこれについてははっきりした情報でもないですし、
それでも少ないと感じてしまいますね。

【筋トレダイエットの間違い2】ダイエット中に筋肉を増やすのは非現実的

筋トレダイエットの間違いはこれにほとんどが集約しています。

筋トレダイエットを推奨する人はあたかも筋肉が簡単に増えるように説明しますが、
ダイエット中に筋肉を増やすのは困難であるどころか非現実的なのです。

「筋トレをすると脂肪が筋肉に変わる」

このように思っている人は多いのではないでしょうか。

これは間違いです。

筋肉は現在体に付いている脂肪が変化するのではなく、
食事でとった栄養が筋肉になるのです。

少なくともカロリーの収支がマイナスの状態では、
筋肉が増えるよりも分解される量の方が多くなります。

筋肉を増やすには、
摂取カロリーを消費カロリーよりも増やす必要があるということです。

そしてその際に筋肉だけをつけることはできず、
脂肪も一緒に増えることになります。

この時、筋トレで筋肉にしっかり負荷をかけることで
脂肪よりも筋肉が増える割合を増やすことができます。

 

ダイエット中は脂肪だけではなく筋肉は減るものですし、
筋肉を増やす際には脂肪も一緒に増えてしまうのです。

いずれにしても、脂肪を減らしながら筋肉を増やすことは非現実的です。

実際に筋トレを推奨するライザップのモニターのビフォーアフターを比べると、
ダイエットに成功しても筋肉(除脂肪体重)が増えている例がないのが分かるでしょう。

筋トレダイエットの間違っている理由の大部分がこれです。

脂肪を筋肉に変えることができるのなら、
ボディビルダーが大会の前に減量する必要はありませんからね。

【筋トレダイエットの間違い3】ダイエットをすると基礎代謝は減るのは避けられない

基礎代謝を増やすというのが目的の筋トレダイエットですが、
ダイエットをすると基礎代謝は減っていくものです。

筋肉の増減が代謝の増減に関係しているのと同様に、
“脂肪の増減”もまた代謝に関与するからです。

脂肪は代謝4%を構成しており、
脂肪1Kgあたり“5Kcal”の代謝を担ってます。

筋肉よりも少ないとは言え、
ダイエットに成功するとどうしても基礎代謝の低下は避けられません。

『基礎代謝を増やして痩せる体質にする』というコンセプト自体、
ダイエットの方針として破綻しているのです。

これは筋トレだけに限りませんね。

結局は食事や日頃の活動でカロリー収支をコントロールする必要があるのです。

ダイエットにおける筋トレの本当の役割

ここまで筋トレダイエットの間違っている点について指摘してきましたが、
筋トレ自体を否定しているわけではありません。

筋トレはダイエットにおいて重要な役割があるのです。

前述した通り、
ダイエットにおいてカロリーの収支をマイナスにすると脂肪が落ちますが、
その際、筋肉も一緒に分解されます。

「食事だけでは不足する分のエネルギーを脂肪や筋肉を分解することで補う」というイメージです。

筋トレをすると何がいいのかというと、
カロリー収支がマイナスの際に筋肉が分解される割合を最小限に留めることができるのです。

同じカロリー収支でも、
筋トレをする方が体脂肪を効果的に落とすことができます。

これがダイエットにおける筋トレの重要な役割です。

女性の場合、筋肉をつけるのが嫌で筋トレを敬遠する傾向にありますが、
筋トレをするだけで筋肉が付くことは絶対にありません。

筋トレをしなくても脂肪は落ちるので必須とは言いませんが、
「体脂肪率を効率的に落としたい」「早く見栄えの良い体型にしたい」というのであれば、筋トレは取り組みましょう。

ただ前述したように、筋トレ自体には痩せる効果はないので、
筋トレとは別にカロリーコントロールをする必要があります。

この点はよく頭に入れておきましょう。

あとがき

以上、筋トレダイエットの問題点について説明しました。

ダイエットにおいて筋トレが重要なのは間違いありませんが、
「筋トレで基礎代謝が上がる」「筋トレで痩せる体質になる」というのが間違いということです。

他にもダイエットにおいて「基礎代謝を上げる」と謳うダイエット法は無数にありますが、
これらも例外なく間違いです。

基礎代謝は体の組織(脂肪や筋肉)の重量によってほぼ決まるため、
食事をたくさん摂って体を大きくする以外に方法はありませんからね。

ダイエットにおいて全く役に立たないのです。

本気でダイエットをしたいのであれば、
今回のような間違った情報に流されないように最低限の知識を身につけるのが重要です。

ダイエットの基礎知識についてもまとめているで、
ぜひこちらもご覧ください。

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著者プロフィール
テク

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元ボクサー/ダイエットアドバイザー
試合の度に2週間で6Kgの減量をしていた元ボクサー。 元来の『食べることは好きだけど面倒な運動は嫌い』という性格がたたり、引退後は10Kg以上増量。 正しいダイエットの知識を身に着けた今では、毎日好きなものを食べて体脂肪率10%台前半を維持。 Twitter(@yasetech)ではダイエットに役立つ情報を配信中。
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