後ろに倒れるだけで腹筋が鍛えられるという「ワンダーコア」についてその効果を詳しく説明していきます。
あらかじめ言っておきますが、ワンダーコアはダイエット効果はありませんし、筋トレに使うのにも極めて非効率的な器具です。
少なくとも、筋トレやダイエットに精通している人でワンダーコアを薦める人はほとんどいないと思います。
ではこの理由について具体的に述べていきます。
目次
1.ワンダーコアとは
「倒れるだけで腹筋ワンダーコア」というキャッチコピーでお馴染みのワンダーコア。
家庭用筋トレ器具(ダイエット器具)として販売されており、
色んな運動に使うことができますが、主に腹筋の補助のための器具です。
「ワンダーコア」、「ワンダーコアスマート」、「ワンダーコア2」などの種類があります。
値段は大体1万5000円~2万円くらいで、
重量はワンダーコアスマートが6Kg、他2つが11Kgとなっています。
腹筋補助の原理は、
「体を倒す方向と反対向きの力が加えられることで、上体を起こすのに要する負荷が軽減される」
というものです。
そしてこのワンダーコアが売りにしているのが、
“筋トレ効果”と“ダイエット効果”です。
公式HPでは「床での腹筋運動の3倍以上のトレーニング効果」や、
「4週間で4Kg~10Kgのダイエトに成功したモニター」などが掲載されています。
かなり突っ込みどころが満載で酷い内容なんですが、
あまり知識のない人からしたら鵜呑みにしてしまいそうな内容なので今回記事にしました。
この記事のタイトル通り批判的なことについて書いていきますが、
ただこのCMだけはすごく好きです(笑)
2.ワンダーコアに効果がない理由
結論を言うとワンダーコアには十分なダイエット効果も筋トレ効果も見込めません。
このことについて以下の順番に理由を述べていきます。
- そもそも腹筋だけやっても痩せない
- 大抵の人にとって負荷が軽すぎる
2.1.そもそも腹筋だけやっても痩せない
ワンダーコアの購入を考えている人の中には、
ダイエット効果を期待している人は多いかと思います。
「1日30秒の運動でお腹の脂肪が減る」
「4週間で数Kgは体重が落ちる」
このような文言に惹かれたのなら購入してはいけません。
ワンダーコアではダイエットができないというよりも、
そもそも腹筋を鍛えることとダイエット(脂肪減少・体重減少)はほぼ無関係なのです。
理由は2つ。
- 腹筋運動でカロリーはほとんど消費しない
- 腹筋を鍛えても基礎代謝はほとんど増えない
運動で脂肪を落とすには当然カロリーを消費しないといけないのですが、
腹筋運動のような無酸素運動(筋トレ)は有酸素運動とは違いカロリーをほとんど消費できません。
腹筋100回やったとしても消費するカロリーは飴玉2~3個程度。(腹筋のやり方や体型にもよりますが)
ワンダーコアの場合は通常の腹筋よりも負荷が少ないので、
さらに少なくなります。
またワンダーコアには有酸素運動のような使い方もできるのですが、
局所的な運動になるのでウォーキングやランニングなどの全身運動に比べかなり非効率的です。
「腹筋を鍛えることで基礎代謝が上がるのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
確かに筋肉が増えると基礎代謝が増える(言い換えれば燃費が悪くなる)ので、
最近は痩せるためには筋トレをするのが効果的だという情報をよく見かけます。
しかし、実際には筋肉が担っている基礎代謝はそんなに多くないので、
数ヶ月必死で筋トレをして数Kg筋肉が増えたとしても基礎代謝は数十Kcal程度なのです。
しかも脂肪を落としながら筋肉を増やすのはかなり難しいですし、
腹筋運動だけで増える筋肉なんて微量ですしね。
それに後述しますがワンダーコアは筋トレ効果も大したことはありません。
ちなみに腹筋でダイエットできないことについて、
以下の記事にもっと詳しく書いているので興味があれば是非ご覧ください。
腹筋はお腹痩せの効果なし!ウエストを細くするダイエットの方法をご紹介!
では、ワンダーコアの公式HPに掲載されている
「4週間で4Kg弱~10Kg程度ダイエットに成功したモニター」は何なのかということです。
まあダイエット商品ではよくある手法ですよね。
ワンダーコアだけで痩せたとは限りませんし、
そもそもこのモニターのデータ自体一切の根拠は無いのです。
ただ、
「ワンダーコアだけでこれだけ痩せるのは100%不可能」
これだけは自信をもって断言できます。
10Kg痩せるためには72000Kcalも消費しないといけませんからね。
器具無しで行う腹筋に換算すると数十万回分に相当しますが、
ワンダーコアの場合はさらに負荷が軽いので100万回くらいでしょうか。
4週間で100万回だとすると1日3万回以上ですね(笑)
いずれにしてもとんでもない数字になるので、かなり適当に計算していますが、
ワンダーコアで痩せるというのはそれくらいありえないことなのです。
2.2.大抵の人にとって負荷が軽すぎる
続いてはワンダーコアの筋トレ効果についてです。
ワンダーコアは“楽にできる”ということを売りにしていますが、
それはつまり“筋トレ効果が薄い”ということを意味しています。
少し極論になるかもしれませんが、
「ダンベルを持ち上げるのは辛いのでスマホを持ち上げて筋トレをしましょう」
と言っているようなものです。
もちろんスマホを持ち上げるだけではまともなトレーニングにはなりません。
このことは誰でもわかると思うのですが、
器具なしの腹筋よりも楽なワンダーコアの筋トレ効果を疑う人は意外と少ないです。
筋トレにおいて筋肥大に最も効率的なのは、
10回程度ギリギリ行えるトレーニングをすることです。
高負荷低回数の筋トレですね。
少ない負荷でも筋トレ効果はあるものの、
それだけ回数をこなさないといけないので時間もかかりますし効率も悪くなります。
そんな運動を30秒やったところでほとんど意味がありません。
中にはワンダーコアの負荷がちょうどいいくらいの人もいるかもしれませんが、
それも最初だけの話で、筋力がついてきたら単なる非効率的なトレーニングになってしまいます。
しかしワンダーコアは「床での腹筋運動の3倍以上のトレーニング効果」ではないのか?
公式HPに器具なしの腹筋運動の3倍以上のトレーニング効果とありますが、
これはかなり限定的でとんでもない誇張表現です。
公式HPには注釈として小さな文字で以下のことが書かれています。
- ※効果には個人差があります
- ※タック運動時の右腹斜筋での増加
-
※男女6名の平均値(最大13倍、最小0.6倍)
この注釈だけで色々お察しだと思います。
腹筋運動(上体起こし)同士の比較ではなく、
「床の腹筋運動」と「ワンダーコアの“タック運動”」の比較です。
しかも腹直筋ではなく何故か右腹斜筋。
さらにたった6人の比較ですし、
最大13倍、最小0.6倍というバラつきからこのデータの精度の低さが伺えます。
こういうデータを平気で使っているだけでも、
信ぴょう性がないのが分かってもらえるのではないでしょうか。
普通に考えてワンダーコアは楽に腹筋を行う器具なので、
床で行う腹筋運動よりも高いトレーニング効果が得られることはまずありえません。
3.ワンダーコアのデメリット
では次にワンダーコアのデメリットをまとめます。
ワンダーコアをおすすめできなり理由ですね。
主に5つのデメリットが考えられます。
- 値段が高い
- 重い
- かさばる
- ダイエット効果はほぼ期待できない
- 筋トレ効果は薄い
筋トレ器具は、値段が高いですし、重量は重くかさばるものですが、
それは体に負荷をかける必要があるので、大がかりな器具になるのは仕方のないことです。
しかし、ワンダーコアの場合は逆に負荷を軽減するために大がかりな器具になっているのです。
工夫すれば通常の腹筋運動も特別な器具なしでも負荷は軽くできるものなので、
この事は仕方ないとは言えないですよね。
また、痩せるのが目的なら、
ワンダーコアの代わりにランニングウェアを購入して走るモチベーションを上げる方がよっぽど合理的です。
腹筋を鍛えるのが目的なら、
後述する腹筋ローラーの方が何倍も効果的ですし、値段も1/10程度で済みます。
このようにデメリットはたくさん思い浮かぶのですが、
ワンダーコアを購入するメリットは一切出てこないです。
少なくとも、筋トレやダイエットに精通している人でワンダーコアを薦める人はまずいないと思います。
4.腹筋ローラーがおすすめ
最後にワンダーコアの代替案として、
腹筋ローラーをご紹介します。
ワンダーコアと比較した際のメリットを挙げると以下のことが言えます。
- 値段が安い
- 軽い
- かさばらない
- 幅広い人に対応した適切なトレーニングができる
- 常に目標を持って行えるので楽しい
まず器具そのものの特性としてシンプルでコンパクト、値段も1000円前後なので、
手軽に購入することができます。
そして、一見転がすだけのシンプルなトレーニングですが、
膝をついたり壁をストッパーに使ったり、やり方によって簡単に負荷を調整できるため、
その人に合ったトレーニングを行うことが可能なのです。
お腹周りをちょっと引き締めたい人という女性から、
腹筋をバキバキにしたいという人まで男性まで幅広い人におすすめの器具です。
そして個人的に特におすすめのポイントとしては、
常に目標を持ってトレーニングができるということ。
多くの人の場合は膝をついてローラーを転がすのも困難なので、それが第一の目標になり、
それができるようになれば膝をつかずに行うのが目標になります。
膝をつかずに行うのはかなりの筋力が必要なので、
これができるだけで自慢ができるレベルです。
このように常に目標を持って行うことができ、
トレーニングの度に目標に近づけたことを実感することができるので、
モチベーションを維持しやすいトレーニングだと思います。
他にも腹筋ローラーの利点や鍛えられる部位、
おすすめの腹筋ローラーなどをまとめたので是非以下の記事を参考にして下さい。