『中性脂肪』はよく耳にするとは思いますが、これが一体何者なのかご存じですか?
今回、中性脂肪の概要に加え、中性脂肪値が高くなることでどんな症状が現れ、どんな病気になるのかをお教えしていきます。
中性脂肪は、皮下脂肪の元となるため、これが増えると肥満の原因になりますが、それだけにとどまらず、命にかかわる症状を引き起こしてしまうこともあるのです…。
目次
中性脂肪とは?
まず、中性脂肪とは何なのか?
その概要について説明していきます。
中性脂肪はその名の通り脂肪なのですが、
一言で脂肪といっても私達の体内にある4種類の脂肪のうちの一つです。
一般的に私達が「脂肪」と呼称するお腹の贅肉、皮下脂肪などは、
ほとんど中性脂肪です。
しかし、『太っていない=中性脂肪が少ない』というわけではありません。
中性脂肪は、皮下脂肪だけではなく、
内臓脂肪や血液中の血中脂肪として貯まる性質があります。
なので、痩せている人でも中性脂肪が高い場合もあるのです。
見た目では気付きにくい分、
健康を害しているのに気づかずどんどん症状を悪化させてしまうことがあります。
きちんと検査することが大事なのです。
中性脂肪値が高いとどんな症状・病気が現れるのかは後述するとして、
次に中性脂肪の役割について見て行きましょう。
中性脂肪と聞けば、「肥満」や「メタボ」などという言葉を連想しやすいため、
「中性脂肪についてよく知らないけど、何となく体に悪そう」
というようなイメージを持つ人が大半です。
確かに、中性脂肪は体の贅肉と直結するため、これが多いと健康に悪いですが、
生命を守るための重要な役割もあります。
中性脂肪の役割
中性脂肪の役割として、主に以下の3つが挙げられます。
- エネルギーの貯蓄
- 内臓や骨を守る
- 保温効果
【中性脂肪の役割1】エネルギーの貯蓄
私達は食事から日々の活動のエネルギーを得ていますが、
活動で消費しきれない分は中性脂肪として脂肪組織に蓄えられます。
これのおかげで、食事からエネルギーを摂取できない時があっても、
蓄えた中性脂肪からエネルギーを取り出して活動源にすることが出来ます。
【中性脂肪の役割2】内臓や骨を守る
皮下脂肪の厚みがクッションとなり、
外部の衝撃から内臓や脂肪など体内の重要な組織を守ります。
実際に交通事故などで、
肥満の人が自身の中性脂肪のおかげで大した怪我をせずに済んだという事例が何件もあります。
【中性脂肪の役割3】保温効果
肥満の人がよく汗をかいたり、
冬場でも半袖で過ごしていたりすることがあります。
これは、中性脂肪により、
外気の温度に左右されず体温を一定に保つ効果です。
逆に中性脂肪が少ない人は寒さに弱い場合が多いです。
中性脂肪が高いとどんな症状・病気になる?
中性脂肪が高くなることで起こる症状は大きく分けて2つです。
- 動脈硬化
- 脂肪肝
動脈硬化
中性脂肪が高いと、
様々病気の元となる『動脈硬化』のりクスクが高くなります。
メカニズムとしては以下のとおりです。
中性脂肪が高い
↓
血中の善玉コレステロール(HDL)が減り、悪玉コレステロール(LDL)が増える
↓
血管壁にコレステロールが蓄積する(動脈硬化)
そして、動脈硬化になると、
血液が正常に送られなかったり血管の負担が増えることで以下の病気になる可能性が高まります。
- 心臓の負担増:心肥大、心不全、高血圧
- 各臓器に血液が送られない:心筋梗塞、狭心症、腎硬化症、脳梗塞
- 血管が破れやすい:脳出血、クモ膜下出血
動脈硬化の怖いところは、
“自覚症状”がほとんど無いということです。
そのため、
知らず知らずのうちに病状が進行し、命にかかわる危機に陥らせることから、
「サイレントキラー」と呼ばれています。
詳しいことは以前コレステロールの記事でも書きましたね。
コレステロールについてもっと知りたい場合、こちらもご覧ください。
善玉(LDL)・悪玉(HDL)コレステロールとは?高い時の症状・病気
脂肪肝
中性脂肪が肝臓に貯まると、
『脂肪肝』になってしまいます。
脂肪肝になると肝臓の機能が低下し、
悪化すると“肝硬変”を経て“肝臓がん”のリスクが高まります。
これも、動脈硬化の時と同様に、
自覚症状があまり無いというのが特徴です。
そのため、定期的に検診を受けるのが大事なのです。
あとがき
以上、中性脂肪の役割や中性脂肪が高い時の症状についてでした。
中性脂肪には重要な役割があるのは確かですが、
大抵の場合は中性脂肪が高い傾向にあります。
中性脂肪が高いと体の見栄えが悪いということだけではなく、
命にかかわる病気のリスクも上がるため、なんとかして下げるよう努力する必要があります。
そこで中性脂肪値を高くしてしまう原因と下げる方法についても記事にしました。
是非こちらもご覧ください
中性脂肪を下げる食事・運動の方法