忙しい朝は食事を食べる時間すら惜しいと感じる人は多いと思います。
しかし朝食を抜くことによって「太る」と言われたり、「頭が働かなくなる」と言われるため、食べたくなくても無理に食べている人もいるのではないでしょうか
これらは本当なのか、今回その真相について解説していきます。
目次
朝食抜きとダイエットの関係
まず、朝食抜きとダイエットの関係についてお話します。
「朝食を抜くと太りやすいため、食べたくなくても食べるべき!」といわれる風潮ですが、
これの詳しい理由と、このことが本当かどうかを説明します。
朝食抜きが太ると言われている理由
朝食抜きが太ると言われている理由は主に以下の二つ。
- 栄養を吸収しやすくなり、昼食や夕食から余計にカロリーを摂取していしまう
- 食欲が増すため、結果的に間食や他の食事の量が増えてしまう
人間は胃が空の状態が続くと、体に栄養を溜め込もうとします。
カロリーの消費を節約し(基礎代謝低下)、
食べ物からは多くカロリーを摂取しようとしてしまうのです。
その結果『摂取カロリー>消費カロリー』となり、
太ってしまうというとのこと。
それを裏付けるのが力士の例です。
力士は朝食を食べすに1日2食で過ごしますが、
これは朝食を抜くと太りやすいからだと言われています。
では次に、これらが本当に正しいのかについてお話します。
朝食抜きは太るはホント?
「朝食を抜いたら基礎代謝が低下し、さらに食事から摂取するカロリーが増えてしまう」
ということですが、これは誤りです。
確かに極端なカロリー制限をすると、
体が飢餓状態と思い込み、カロリーの消費を節約し摂取カロリーを増やそうとします。
これは、ダイエットにおける“リバウンド”に関わるもので、
“ホメオスタシス”という機能によるものです。
ダイエットにおけるホメオスタシスの概要は以下の通り。
- 人間には生体の状態を一定に保つ『ホメオスタシス(恒常性)』という機能が備わっている
- 例:体温を保つ、体内のウイルスを撃退する、体内の血糖値や塩分濃度を保つ等
- ダイエットにも関係があり、体重・脂肪の急激な変化に反応する
- 具体的には、消費カロリーを減らして摂取カロリーを増やすように働く
- いわゆる『停滞期』や『リバウンド』がこれにあたる
ただしこれは、長期間のダイエットで、何Kgという体重が減った時に働く機能であり、
たかが朝食を抜くだけで基礎代謝が減ったりするものではありません。
考えてもみて下さい。
たとえば朝食を抜いて300~500Kcalほど食事のカロリーが減ったとして、
昼食は節制したカロリーが帳消しになるほどカロリーの吸収率が上がるのでしょうか?
「昼食のカロリーは500Kcalだけど、朝食を抜いてしまったせいで栄養の吸収率が上がりカロリーは1000Kcalにもなってしまった。」
たかだか数時間ほど食事の間隔が開いただけでこんなことが起きるはずがありません。
また力士も太るために朝食を抜いているのではなく、
朝稽古のために朝食が取れないだけですし、間食もいっぱいしています。
これらのことは、
以前「一日何食が一番痩せれるのか?」を説明した記事に詳しく書いています。
朝食抜きとダイエットの関係の結論
ダイエットにおいて「1日5食が痩せる」と言われたり、
最近では「1日1食が痩せる」と言われたりしますね。
提唱する説に説得力を持たせるために、
『基礎代謝がどうこう~』という曖昧な理論を展開することが多いですが、
ダイエットは実際はもっと単純です。
『摂取カロリーが消費カロリーを上回れば太り、下回れば痩せる』
ただこれだけです。
「一日何食が1番痩せれるのか?」「朝食を抜いたら太るのか?」というような議論は、
結果的に摂取カロリーが減らせるかどうかを基準に考えればいいのです。
朝食を抜くことでお腹が空き間食や食事が多くなってしまうのであれば、
当然朝食は抜いてはいけません。
しかしこれは人それぞれで、
朝食を抜くことで一日の食事の量を減らせることができるなら、
それで痩せることが出来るでしょう。
朝食抜きの考え方はそんな感じの考え方です。
朝食を抜くことで、不自然に太るということはないので、
「1日の食事量を減らして摂取カロリーを抑える」
という目的で朝食を抜くのは悪い考えではありません。
朝食抜きと脳の活動の関係
次は、朝食と日中の脳の活動の関係についてです。
「朝食は頭を働かせるためにしっかり食べるべき」という意見と、
「朝食を抜いても脳の活動に影響はない」という意見があります。
これらについて詳しく解説していきます。
「朝食は頭を働かせるためにしっかり食べるべき」説
「朝食を抜くと頭が働かない」というのは一般的に定説になっており、
何となく潜在的にそのような意識が根付いていると思います。
脳のエネルギー源は100%ブドウ糖で、
炭水化物を摂取して血糖値を上げることで供給することができます。
そのため、朝食を食べないと低血糖状態となり、
脳があまり働かず、ぼーっとしやすくなるのです。
これは30年以上も前に『香川靖雄教授』らによって発表された、
「朝食抜きの学生ほど成績が悪かった」という趣旨の論文により広がったものです。
それに相反するのが以下の説です。
「朝食を抜いても脳の活動に影響はない」説
「朝食を抜いても構わない」という説にも色々な根拠が提唱されています。
食後は眠気に襲われ脳のパフォーマンスが落ちる
これは朝食を抜いた方がむしろ脳のパフォーマンスがよくなるという意見です。
食後は眠気を感じて脳が働かないということはよくあると思います。
食事後に胃や腸などの消化器官が活発になり、
そこに血流が集中して脳に血液が行き渡らずに脳は酸素不足になってしまうからです。
そして結果的に眠気が襲ってきて頭が働かなくなります。
食事の消化には数時間かかり、それまでの時間この状態が続くので、
朝食を食べると午前中の勉学や仕事など頭を動かす作業の能率が低下してしまいます。
なので、朝食を摂らないほうが午前中の活動のために良いと言われます。
朝食を摂らなくても低血糖にはならない
「朝食を抜くと低血糖になってしまい、頭が働かなくなる」
という説に対して、実際に朝食を抜いた時の血糖値を調査した実験があります。
結果、朝食を抜いても低血糖にならず、
昼食前には朝食をしっかり取った時と比べて血糖値にほぼ差はありませんでした。
脂肪を消費してケトン体をエネルギー源とする
基本的に脳のエネルギー源はブドウ糖ですが、
ブドウ糖が枯渇した時には別の物質がエネルギー源となります。
それが“ケトン体”という、脂肪から生成される物質です。
「脳のエネルギー源はブドウ糖のみ」というのは誤りなので、
朝食で十分糖質を摂取しないと頭が働かなくなるというのは間違いなんです。
朝食と脳の活動の関係の結論
朝食と日中の脳の活動の関係に関して、
肯定的な意見と否定的な意見を紹介しました。
このように、このことは専門家の間でも大きく意見が別れており、
はっきりとした答えが出ていません。
なので、1番正しいのが『人それぞれ』ではないでしょうか?
実際に朝食抜きだとやる気が出なかったり目が覚めないという人がいれば、
朝食抜きの方がよく頭が働き仕事の能率が上がったという人もいます。
恐らく、個人の“体質”や“生活スタイル”によって、合う合わないがあるんだと思います。
理論的には甲乙つけがたいので、
実際に数週間というスパンでどっちが自分には合っているのかを検証してみるのもいいでしょうね。
ちなみに私は、基本朝食は食べますが、
朝食を抜いても全く支障はないので、このことに関しては朝食抜きに肯定的な考えです。
朝食を抜くと栄養が偏る
ダイエット面でも脳の働きの面でも、
朝食を抜くこと自体が明確に悪い影響をもたらすことはないと説明してきました。
しかし、朝食抜きによる栄養の偏りに関しては明確な影響が考えられます。
私達は一日で摂取すべき栄養素は多く、
そのため幅広い食品で補わないといけません。
しかし食事の回数が減ることで、
一品当たりの量が増え、逆に食品の数やカバーできる栄養素は減ってしまいます。
食事の回数を減らすなら、
その分だけ一食の食品の数を増やさないといけないのです。
あとがき
以上、朝食抜きによる影響についてでした。
朝食抜きによる影響は人によって大きく異なる問題なので、
一概に是非の判断を下すことはできません。
たとえば朝食を抜くだけなら摂取カロリーを確実に減らせるので痩せるはずですが、
人によってはかえって食欲が増し、普段よりも食事量が増えてしまう人もいるでしょう。
油断して間食が増えてしまうという人も珍しくありません。
また、深夜過ぎに油こってりで消化に悪いラーメンを食べる人もいれば、
毎日きっちり午後6時に食事を終える人もいます。
これらの人が朝食を摂るか摂らないかだけで、
太るか否か、脳に影響があるか否かが一概に決まるはずもありません。
やはり、その人にあったスタイルがあるといえるでしょう。
ちなみに朝食に関連して、
朝食はご飯・パン・シリアルのうちどれが1番良いのかということを、
カロリーや栄養バランス、手軽さなどを基準に解説しました。
ぜひこちらもご覧ください。
https://yase.tech/3430.html