「岩盤浴は汗をいっぱいかけるのでダイエットに効果的」
「岩盤浴は代謝がよくなるから痩せる体質になれる」
など、岩盤浴はダイエットに良いと言われる風潮があります。
しかしはじめに結論を言うと、岩盤浴でまともなダイエット効果は期待できません。
カロリーをそんなに消費できないので脂肪は燃えませんし、代謝（1日の消費カロリー）が上がるなんてこともありえません。
汗をかいて体内の水分量が少なくなれば一時的な減量効果が見込めるというくらいです。
サウナや半身浴などと同じですね。
体を温めて汗をかくことがダイエットに効果的と言われるのですが、実際には脂肪の燃焼にはほとんど影響しないのです。
では詳しく解説していきます。
目次
岩盤浴の消費カロリーについて
私達の脂肪の増減はカロリーの収支によって決まります。
摂取カロリーが多ければ余ったエネルギーを脂肪として蓄え、
消費カロリーが多ければ足りないエネルギーを脂肪を分解して作り出します。
なので、運動や特定の行為においてどれだけ脂肪が燃えるのかは消費カロリーに左右されるのです。
では、岩盤浴でどれだけ脂肪が燃えるのか、消費カロリーを見てみましょう。
体重ごとの岩盤浴の消費カロリー一覧
運動や日常の動作の消費カロリーは、
運動強度の指標（メッツ）を用いて計算されます。
岩盤浴の運動強度は不明ですが、
“入浴”と同じくらいというのは推測できます。
岩盤浴も入浴も、
発汗などの体温調節機能でカロリーを消費するわけですからね。
その入浴の消費カロリーは以下の通り。
- 体重40Kg：21Kcal
- 体重50Kg：26Kcal
- 体重60Kg：31Kcal
- 体重70Kg：36Kcal
- 体重80Kg：42Kcal
- 体重90Kg：47Kcal
- 体重100Kg：52Kcal
岩盤浴はこれと同程度なので、
1時間行っても数十Kcal分ほどしかカロリーを消費しません。
飴玉に換算すると1～2個程度。
体脂肪に換算すると3～5g程度です。
（体脂肪1Kgあたり7200Kcal）
毎日行う入浴であれば、
これを積み重ねることでそれなりのダイエット効果になることもあるでしょう。
しかし、岩盤浴が趣味という人でもせいぜい週に1回くらいだと思うので、
実感できるほど脂肪を減らすのはまず無理だと思います。
岩盤浴で代謝はよくなる？
続いて、『岩盤浴で痩せる体質になる』ということの真偽について解説していきます。
岩盤浴の効果を信じる人は、
「カロリーを消費しなくても代謝が良くなれば自然と痩せるようになるはずだ」
と言うでしょう。
しかし、岩盤浴で痩せる体質にはなることは絶対にありません。
そもそもがダイエットにおいて、
『代謝を上げて痩せる体質にする』という文言はインチキダイエットの決まり文句なのです。
「代謝」という言葉を使えば、専門知識がない人は無条件で信じてしまう傾向にあるので、
最近のダイエットは「とりあえず代謝という言葉を使えば良い」という風潮にあるくらいです。
まず、代謝がどういったものなのかを見ていきましょう。
そもそも代謝とは？
曖昧な言葉で分かりにくくしていますが、
ここでいう代謝とは“基礎代謝”、「安静時に消費するカロリー」を指します。
通常、基礎代謝は1日の消費カロリーの6～7割を占めるので、
これを高めるのが痩せる体質の獲得だと言われるのです。
基礎代謝を高めるという謳い文句のダイエット法はたくさんあり、
体温を高めるのはその代表です。
岩盤浴の他、サウナ、サウナスーツ、半身浴、温かいもので体を温める、など。
体温を保つのにはエネルギーが必要なので、
体温が高い人ほど代謝が高いのです。
岩盤浴で基礎代謝が向上しない理由
「岩盤浴で体温を高めれば基礎代謝が向上するのではないか？」
このように考えるのは普通です。
しかし、基礎代謝とは1日のうち安静時に消費するカロリーを指します。
体温によりこれを高めるには、常に高い体温を保たないといけないのです。
岩盤浴やサウナ、半身浴でこれは可能でしょうか？
もちろんNOです。
一時的に体を温めたところで体温が高い状態を維持できるはずもないので、
これらは基礎代謝に全く影響しないのです。
体を温めると汗をかいて体温調整をしますが、
この時に消費されるエネルギーが上述した消費カロリーにあたります。
岩盤浴で代謝が上がると言う人は、
「単なるカロリー消費」を「基礎代謝の向上」と謳っていたのです。
「基礎代謝を上げるダイエット」は例外なくインチキ
岩盤浴に限らず「基礎代謝を上げる方法」として推奨されているダイエット法は、
数え切れないくらいあります。
- 筋トレをする
- 体温を上げる
- 血流を良くする
- 便秘を改善する
- 姿勢を良くする
- ストレッチをする
- ヨガをする
- 肺活量を増やす
- むくみをなおす
- 酵素ドリンクを飲む
- 特定の食品を食べる
しかし、基礎代謝を上げる方法なんてこの世に一つしかないので、
これらは全て間違いです。
基礎代謝は体を構成する組織（脂肪や筋肉）の重量によってほぼ決まります。
なので、基礎代謝を上げるには、
カロリーをたくさんとり、体を大きくするしかないのです。
つまり、ダイエットとは真逆のことをしないといけないので、
ダイエットにおいて“基礎代謝向上”というのは一切役に立たないということです。
詳細は以下に詳しくまとめています。
あとがき
以上、岩盤浴のダイエット効果について解説していきました。
岩盤浴で汗をかくこと自体は健康や美容に良いのですが、
何でもダイエットに結びつける風潮はよくないですね。
発汗で体重を落とすのは簡単です。
1回で1Kg～2Kg落ちるというのも珍しくないでしょう。
しかし、ただ体内の水分量が減っただけで、
脂肪は数g程度しか減りません。
どんなに時間をかけても岩盤浴で痩せるのは困難でしょう。
少なくともサウナや入浴以上の効果は見込めないので、
あえてダイエット目的で岩盤浴に行くメリットもありません。
これに対し、入浴の場合は毎日行うものなので、
入浴時間を伸ばしたりして入り方を工夫すればダイエットに活用することもできます。
ぜひこちらも参考にして下さい。
