世の中には様々なダイエットがありますが、その中でも「基礎代謝を上げる」と謳うダイエットは特に多い印象があります。
しかし、体重の増減に関わるほど基礎代謝を上げる方法は一つしかなく、実際にはほとんどが効果がないのです。
今回は基礎代謝を上げるたったひとつの方法をご紹介し、その他の多くのものが効果がない理由について説明します。
基礎代謝の簡単な概要
“基礎代謝”というとダイエットにおいてよく出てくる言葉ですが、
そもそも基礎代謝とは何なのか、簡単に説明します。
- 1日に消費されるカロリーのうち、運動や食事の際に消費されるカロリー以外のカロリー
- 何もしなくても消費されるカロリー
- 消費カロリーのうち6~7割を占めるカロリー
このように、1日の消費カロリーの内の大部分を占めるカロリーであり、
運動などしなくても勝手に消費してくれるカロリーのことを基礎代謝といいます。
そしてこれらのことから、
「基礎代謝を上げると楽に痩せることができ、リバウンドしない」
と言われ、基礎代謝の向上を謳ったダイエットが数多く存在します。
たとえば、以下のようなものです。
- 筋トレをする
- 体温を上げる
- 血流を良くする
- 便秘を改善する
- 姿勢を良くする
- ストレッチをする
- ヨガをする
- 肺活量を増やす
- むくみをなおす
- 酵素ドリンクを飲む
- 特定の食品を食べる
しかし、実際にはこれらは全て“嘘”、または“誇張表現”であり、
体重の増減に関わるほど基礎代謝を増やすことなんてできません。
基礎代謝を上げる方法なんて一つしかありませんからね。
基礎代謝を上げるただひとつの方法
結論から言いましょう。
基礎代謝を上げる唯一の方法、
それは「体を大きくすること」です。
言い換えるなら、
「脂肪や筋肉などをつけるためにたくさん食事を摂ること」。
これ以外に体重の増減に関わるほど基礎代謝を上げる方法はありません。
つまり、ダイエットで体を細くしたい、脂肪を減らしたいという人にとって、
『基礎代謝を上げるダイエット』というのは全く意味がなかったのです。
何故なら、基礎代謝は「体組成」でほぼ決まるからです。
基礎代謝は「体組成」で決まる
基礎代謝は人によって異なりますが、
それは体格によるものです。
太っている人や筋骨隆々な人は、
その体を維持しながら常時正常に動作させるために多くのエネルギーを必要とします。
それに比べたら一時的に体温を上げたり血流を良くしたりしたところで、
ダイエットに影響するほどエネルギーが消費されるはずもないのです。
太ったら基礎代謝は上がり、痩せれば基礎代謝は下がる、それだけのことです。
しかしこれまでの説明だと、
「筋トレで筋肉をつければ基礎代謝では上がるのでは?」と思う人もいるでしょう。
なので次は基礎代謝ダイエットの最も代表的な例、
「筋トレをすれば基礎代謝が上がる」「ダイエットのためには筋肉をつけるのが効率的」
といったことの誤りについて説明します。
筋トレで基礎代謝が上がらない理由
これにはいくつか理由がありますが、
最も単純なのが「痩せながら筋肉を付けるのは非現実的」ということです。
多くの人は筋トレをすれば筋肉がつくと思いがちですが、
そうではありません。
筋肉を増やすには『筋トレ+栄養(エネルギー)』が必要で、
少なくとも消費カロリー以上に摂取カロリーを増やさないといけません。
そして、筋肉だけを増やすということは不可能で、
その際に必ず脂肪は増えます。
筋肉が増えれば基礎代謝が増加するのは確かですが、
ダイエット中に筋肉を増やすというのが不可能なのです。
それに、筋肉自身の基礎代謝量も多くの人が思っているほど多くはありませんからね。
■体組織の基礎代謝の割合
- 筋肉(骨格筋):21.6%
- 脂肪:4.0%
- 肝臓:21.3%
- 脳:19.9%
- 心臓:8.6%
- 腎臓:8.1%
- その他:16.5%
参考サイト:国立健康・栄養研究所ホームぺージ
筋肉1Kg増えても基礎代謝は13Kcal程しか増えず、
実際には筋肉が増える過程で他の組織も増えるので、せいぜい50Kcalといったところ。
また、筋トレ自体有酸素運動と比べて消費カロリーが少ないため、
筋トレだけで痩せるのは極めて非効率と言えます。
ただし、ダイエットをする上で筋トレが無意味というわけではありません。
筋トレにも体脂肪率を減らす上で重要な役割があります。
詳細はこちら。
ダイエットは正しい知識をつけるのが大事
ここまでの説明で「基礎代謝ダイエット」が
いかにいい加減なものだったかが分かってもらえたでしょうか。
「〇〇は基礎代謝向上に効果的」というように、
少し難しい理論を言われたら何となく信じてしまう気持ちは分かります。
しかし逆に、インチキダイエットを提唱する人がダイエッターを騙すのに、
「基礎代謝向上」ほど便利な言葉はありません。
ダイエットの知識がない人ほど「基礎代謝」という言葉使う傾向にあるので、
覚えておくといいでしょう。
ダイエットは理論自体そんなに難しいことではありませんからね。
摂取カロリーと消費カロリーの収支によって体重の増減がほぼ決まるので、
いかに収支をマイナスにするかということ、そして同時に栄養をしっかり摂取すること、
これらがダイエットの肝と言えます。
ネット上には「基礎代謝ダイエット」のようにいい加減な情報が多いので、
それにだまされないように、まずは基本的な知識だけでも頭に入れておくと良いでしょう。
是非こちらをご覧ください。