「サウナは汗がいっぱい出るのでダイエットに効果的」
「サウナで汗をかくと代謝がよくなって痩せる体質になる」
このように言われることがよくあります。
サウナに限らず、『汗をかく=痩せる』という図式を無意識に想像する人は多いのではないでしょうか。
実際に、サウナを使うと1日で簡単に2~3Kg体重を落とせます。
そのため、ボクシングなど体重制限のある競技をする人は減量に利用することが多いです。
私自身もたまに使っていました。
しかし、ダイエットについてだと話は全く別です。
サウナで脂肪はほとんど燃やすことはできませんし、痩せる体質になることも絶対にありません。
汗をかくこと自体は健康や美容に良いのですが、ダイエットにはほぼ役に立たないのでダイエット目的のためにサウナを利用するのはやめましょう。
今回は、なぜサウナがダイエットにおいて効果がないのかを解説していきます。
目次
汗をかく≠痩せる
ダイエットにおいて『汗をかく=脂肪が燃えて痩せる』と思っている人は多いのではないでしょうか?
なので、
「運動は汗をかかないと意味がない」
「汗をかきやすい夏場は痩せやすく、汗をかきにくい冬場は痩せにくい」
「体をあたためるのがダイエットにおいて効果的」
などと思いがちです。
しかし、これらはどれも間違いです。
発汗は脂肪が燃えているサインではなく、
単に熱を外に出して体温を保つための機能に過ぎません。
汗をかいたら体重はKg単位で簡単に減ります。
ただ、これは体内の水分量が減るためであり、水分補給をしたら体重は元通りです。
人間の体内水分率は60~70%程あり、
食事や発汗・呼気などで1日に水分は2~3L出入りしています。
これに対し体脂肪は1Kg当たり7200Kcalに相当するため、
これを落とすにはまっとうな方法でも1ヶ月はかかるでしょう。
体重を手っ取り早く落とすには、
脂肪を落とすよりも汗などで体内の水分量を落とすほうが遥かに楽なのです。
なので、サウナや半身浴など、楽に汗をかけるものが一時的な減量において重宝されます。
しかし、発汗と脂肪燃焼は全く別物なので、
ダイエットにおいては発汗は全く重要ではありません。
どれだけ汗をかいても体脂肪率はほとんど減ることはないでしょう。
ただ、発汗などで体温を保つのにもエネルギーを消費するので、
全く無意味というわけではありません。
人間の脂肪の増減はカロリー収支で決まるため、
消費カロリーを増やせば脂肪は燃えます。
では、サウナでどれだけカロリーを消費するのかを見ていきましょう。
サウナの消費カロリー
運動や日常の動作での消費カロリーは、
運動強度を示す指標(メッツ)を用いて計算します。
サウナの運動強度は不明ですが、
“入浴”とほぼ同等か少し高いくらいだというのは推測できます。
どちらも発汗の体温調節機能によってカロリーを消費するわけですからね。
その入浴の運動強度(メッツ値)は“1.5”なので、
安静時の1.5倍カロリーを消費するということが分かっています。
具体的な消費カロリーを体重別にまとめると以下の通り。
- 体重40Kg:21Kcal
- 体重50Kg:26Kcal
- 体重60Kg:31Kcal
- 体重70Kg:36Kcal
- 体重80Kg:42Kcal
- 体重90Kg:47Kcal
- 体重100Kg:52Kcal
サウナの方が高温で汗もかきやすいのでこれよりも少し多いかもしれませんが、
発汗でカロリーはあまり消費しないというのは明らかです。
1回のサウナで落ちる脂肪は数g程度。
毎日サウナを利用するのであれば、
それなりのカロリーになるでしょう。
しかし、入浴とは違い家で手軽にできるものでもないので、
サウナで十分な脂肪を燃やすほどカロリーを消費するのは困難です。
週に2回サウナを1時間利用したとしても、
脂肪1Kgを燃やすのに1年以上かかってしまいます。
サウナで痩せる体質になる?
サウナのダイエット効果を謳う人が口をそろえて言う文言が、
「サウナで代謝がよくなると痩せる体質になる」ということです。
ダイエットにおいて『代謝が上がると痩せる』というのは色んな場面で目にするでしょう。
しかし、代謝というワードを引き合いに出すダイエットは例外なくインチキなので、
これを鵜呑みにしてはいけません。
「代謝」という言葉を使えば専門知識がない人は無条件で信じてしまう傾向にあるので、
最近のダイエットは「とりあえず代謝という言葉を使えば良い」という風潮にあるくらいです。
まず、代謝がどういったものなのかを見ていきましょう。
そもそも代謝とは?
代謝と一言で言っても色んな意味合いがありますが、
ダイエットにおいて使われる場合は“基礎代謝(安静時に消費するカロリー)”を指します。
基礎代謝は1日の消費カロリーの6~7割を占めるので、
これを高めることができれば痩せる体質を作れると言われるのです。
基礎代謝を高めるという謳い文句のダイエット法はたくさんあり、
体温を高めるのはその代表です。
サウナの他、サウナスーツ、半身浴、岩盤浴、温かいもので体を温める、など。
体温を保つのにはエネルギーが必要なので、
体温が高い人ほど代謝が高いのです。
また、体温を高めて血流がよくなったり、
汗をかいてデトックスすることも基礎代謝が上がる要因と言われたりもします。
サウナで基礎代謝が向上しない理由
体温が高い状態を保てれば基礎代謝は向上するでしょう。
では、サウナを利用すれば体温が高い状態は今後ずっと続くでしょうか?
もちろんNOです。
サウナを出て数十分もしたら体温は元に戻ってしまいます。
サウナに限らず、体を温めると基礎代謝が上がると思っている人は多いですが、
一時的に体を温めたところで基礎代謝には何の影響もないのです。
そもそも、人間の基礎代謝は簡単に上がるものではありません。
むしろ「基礎代謝を上げる」ということはダイエットとは真逆のことなので、
「基礎代謝を上げるダイエット」というのは例外なくインチキであると自信を持って断言できます。
「基礎代謝を上げるダイエット」は例外なくインチキ
サウナに限らず「基礎代謝を上げる方法」として推奨されているダイエット法は、
数え切れないくらいあります。
- 筋トレをする
- 体温を上げる
- 血流を良くする
- 便秘を改善する
- 姿勢を良くする
- ストレッチをする
- ヨガをする
- 肺活量を増やす
- むくみをなおす
- 酵素ドリンクを飲む
- 特定の食品を食べる
しかし、実際にはダイエットに影響するほど基礎代謝を上げる方法はこの世に一つしかありません。
それは、“カロリーをたくさん摂り、体を大きくすること”です。
基礎代謝は体を構成する組織(脂肪や筋肉)の重量によってほぼ決まります。
なので、体重が増えたら基礎代謝が増え、
体重が減ったら基礎代謝が減る。
ただそれだけのことなのです。
ちなみに、筋トレをすれば筋肉が増えると勘違いしている人は多いですが、
脂肪が筋肉に変わるわけではありませんし、体を構成する成分を摂らなければ筋肉が増えることはありません。
いずれにしても食事をたくさん取って体重を増やさない限り、
ダイエットに影響するほど基礎代謝を向上させることなんてできないのです。
詳細は以下に詳しくまとめています。
あとがき
以上、サウナのダイエット効果について解説していきました。
サウナで汗をかくこと自体スッキリしますし、
健康や美容に良いのは間違いありません。
しかしサウナで痩せるのはあまりに非効率なので、
ダイエット目的で利用するのはやめましょう。
これに対し、入浴の場合は毎日行うものなので、
入浴時間を伸ばしたりして入り方を工夫すればダイエットに活用することもできます。
ぜひこちらも参考にして下さい。