ダイエットの基礎知識

ボクサーの減量法とダイエットの違い|ダイエッターが減量を参考にしてはいけない理由

昨今、減量に失敗するプロボクサーが問題になったりすることもありますが、大抵の人はきちんと体重を落としきります。

人によって落とす体重は変わってきますが、1ヶ月前後で5~10Kg強という体重をです。

一般的なダイエッターからすると、どうやって体重を落としているのか不思議に思うでしょう。

そして、「ボクサーの減量法を真似すれば自分も痩せられるのでは?」と考える人も多いのではないでしょうか。

しかし、実はボクサーの減量法はダイエットとは大きく異なるため、ほとんど参考になりません。そもそも減量とダイエットは目的からして違いますからね。

また、減量のプロフェッショナルとも言えるボクサーでも、引退したら体型を維持できずに太ってしまう人も多いです。

今回は減量と一般的なダイエットの違いについて、ボクシングの減量を何度も経験した私が詳しく解説していきます。

ボクサーの減量とダイエットの違い

ボクサーの減量とダイエットは目的・期間・方針の3点が大きく異なります。

まとめると以下の通り。

項目 ボクサーの減量 一般的なダイエット
目的 階級の体重制限のクリア 理想の体型の獲得
期間 試合前の計量まで 無期限
方針 1.脂肪、2.水分 の順番に落とす 脂肪を落とす(カロリーコントロール)

では詳細に説明していきましょう。

目的の違い

ボクシングは階級ごとに体重が定められているため、
その階級で試合を行うために減量をします。

何故減量してまで低い階級で試合をするのかというと、
その方が有利だからです。

というよりも、みんな減量するものなので、
自分も減量をしないとリーチや体格面で自分より勝る相手と試合をしないといけなくなるのです。

階級が一つ違うだけでパンチの重さは全然違ってきます。

一方、ダイエットの場合は人によって多少異なるとは思いますが、
大体が理想の体型を手に入れるためだと思います。

ボクシングの場合は体重という数値を落とすのが目的になりますが、
ダイエットで見栄えを良くするには体重というよりも脂肪を落とす必要があるのです。

期間の違い

ボクシングは試合前の計量までに体重を落とす必要があります。

そして計量が終われば試合のために栄養補給をしますし、
試合が終われば体重を気にせず普通に食事をします。

一方、ダイエットの場合はこのような期限がありません。

何かしらのイベントのために一時だけ痩せる必要があるというケースもあるでしょうが、
基本的に誰しも理想の体型は維持したいと思うものです。

方針の違い

減量もダイエットも人によって方法は多少異なりますが、
その大枠や方針などはだいたい同じです。

真っ当なダイエットの場合、カロリーコントロールがメインになります。

昨今は「代謝」などカロリー以外の概念を持ち出すインチキダイエットは多いですが、
脂肪の増減は結局はカロリーの収支によって決まることは明白です。

一方、ボクシングの場合はまず脂肪を落とし、それから体内の水分を落とします。

短期間で体重を大幅に落とすにはこれしか方法はありません。

減量とダイエットの一番の違いは、
水分を落とすかどうかというところにあります。

一時だけ体を小さくするというのであればダイエットで水分を落とすのもいいでしょう。

しかし、水分を落とすと脂肪が落ちにくくなりますし、
血液がドロドロになるなど、健康に悪影響を及ぼします。

理想の体型を手に入れてそれを維持することまで考えると、
ダイエットにおいて水分を落とすのは絶対にNGです。

ダイエッターがボクサーの減量を真似しては行けない理由

減量とダイエットの違いについて見ていきましたが、
両者は大きく異なります。

そしてボクサーの減量法は“一時的な体重減少”が前提なので、
“理想の体型を獲得してそれを維持する”という目的のダイエットにおいては役に立たないものばかりなのです。

例えば、ボクサーの減量のイメージとして以下のものが代表的だと思います。

  • サウナスーツ
  • 暑い部屋で汗をかく
  • 水を制限する
  • ひたすら走り込み
  • 糖質をほとんど摂らない
  • 極端なカロリー制限

これらはいずれもダイエットではNGなのです。

汗をかくことはダイエットにおいてあまり意味はありませんし、
前述したように、体内の水分を減らすのはダイエットにおいて逆効果になり得ます。

また、長時間の走り込みや極端なカロリー制限などは短期間だからできることです。

これを長期的に続けるのは普通は不可能なので、
ダイエッターははじめから取り組むべきではありません。

続けられないダイエットは確実にリバウンドしてしまうからです。

体重が落ちたらそれに伴い1日の消費カロリーは落ちるものなので、
生活を元に戻したら体重も元に戻ります。

詳細:食事制限や運動を辞めると体重が元に戻る理由

理想の体型を維持することまで考えると、
結局はずっと続けられることをする必要があります。

生活習慣の改善ですね。

そういった意味で、
一時的な体重減少を前提としたボクサーの減量はダイエットにおいて役に立たないのです。

ダイエットで成功するためには生活習慣を変えましょう。

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著者プロフィール
テク

テク

元ボクサー/ダイエットアドバイザー
試合の度に2週間で6Kgの減量をしていた元ボクサー。 元来の『食べることは好きだけど面倒な運動は嫌い』という性格がたたり、引退後は10Kg以上増量。 正しいダイエットの知識を身に着けた今では、毎日好きなものを食べて体脂肪率10%台前半を維持。 Twitter(@yasetech)ではダイエットに役立つ情報を配信中。
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