一般的に半身浴はダイエットとして効果的と思われていたり、ダイエットとしてメディアや雑誌に取りあげられることが多いです。
半身浴はたしかに短時間で体重を落とすのには最適と言えます。
私自身、ボクシングをやっていたころ数週間で5Kg~6Kgという減量をしていましたが、計量前には半身浴を欠かしたことはありません。
しかし半身浴は脂肪を落とすのに効果的というわけではありません。むしろ非効率です。
今回、半身浴の消費カロリーやダイエット効果について正しい情報をお伝えしていきます。
目次
半身浴のダイエット効果について
ダイエットに効果的と思われている半身浴ですが、
実際には半身浴で『体重』を落とすのは簡単でも、『脂肪』を落とすのは非常に困難です。
まずはこのことについて説明していきます。
半身浴で体重は簡単に落ちる!?
半身浴をするとKg単位で体重が落ちることは珍しくありません。
このことについては詳しくはこちらをご覧ください。
しかし、実際には脂肪はほとんど落ちておらず、
落ちた体重の大部分は“水分”です。
たとえば1時間ほど半身浴をすれば、
1~2Kgほど体重が落ちるでしょう。
ただし、そのうち落ちた脂肪はせいぜい数g程度。
残りの99%以上が水分なのです。
そのため、半身浴後に水分補給をするとほぼ元の体重に戻ります。
しかし半身浴はカロリー自体は消費するわけですし、
全くダイエット効果がないというわけではありません。
半身浴で体を温めれば代謝が良くなり脂肪が燃えるとも言われます。
そこで、次に消費カロリーに伴うダイエット効果について見ていきましょう。
半身浴の消費カロリーについて
まず、普通に入浴している時、安静時に比べてどれくらいカロリーを消費するのか、
体重ごとに1時間の値を以下にまとめます。
- 体重40Kg:21Kcal
- 体重50Kg:26Kcal
- 体重60Kg:31Kcal
- 体重70Kg:36Kcal
- 体重80Kg:42Kcal
- 体重90Kg:47Kcal
- 体重100Kg:52Kcal
より詳細な数値は以下の計算機を用いて調べることができます。
ただ以上の計算機は普通に入浴した場合のカロリーなので、
半身浴の場合はこれよりはわずかに少ないと考えられます。
ちなみにこれは運動強度の指標“メッツ”を用いたカロリー計算です。
メッツとは運動強度の単位で、安静時(1メッツ)の何倍のエネルギーを消費するのかを表す指標となる。消費カロリーの計算に用いられる一般的な指標でもあり、以下の計算式を用いる。
消費カロリー(Kcal)=1.05×メッツ×体重(Kg)×時間(h)
例)体重50Kgの人が30分「ストレッチ:2.3メッツ」をした時の消費カロリー
⇒1.05×2.3×50(Kg)×0.5(h)=60Kcal
要は「安静にしている時の何倍カロリーを消費するのか」というのがメッツの指標であり、
入浴の場合“1.5メッツ”となります。
つまり、安静にしているよりも1.5倍もカロリーを消費するということです。
日常動作のメッツ値は以下の通り。
以上のように、半身浴で消費するカロリーは決して多くはありません。
脂肪を1Kg燃焼するのに数百時間はかかる計算です。
これではかなり非効率なため、
脂肪を落とす目的で半身浴をするのはオススメできません。
半身浴にカロリー消費以外のダイエット効果はないのか?
「体を温めると代謝が上がり脂肪が燃える」
「血流が良くなるので基礎代謝がアップする」
これらの文言は“体を温める行為”に対して常套句にもなっています。
サウナ、サウナスーツ、岩盤浴、ホッカイロ、温かい飲み物・食べ物の摂取、などなど。
しかし結論を言うと、ダイエット効果は“カロリー消費”が全てです。
強いてあげるなら、他には“むくみ改善効果”があるくらいですね。
理由としては、脂肪の増減は常に“カロリー収支”によって決まるからです。
よく誤解している人も多いのですが、
体を温めること自体に脂肪燃焼効果はありません。
正確には体を外部から温めると汗をかいたりして体温を一定に保とうとしますが、
この体温調整で使用するエネルギーは消費カロリーに含まれます。
つまり前述した消費カロリーこそが、体を温めることで得られるダイエット効果というわけなのです。
また半身浴で「基礎代謝がアップする」と言う人もいますが、
その人は“基礎代謝”について正しく理解できていないのでしょう。
基礎代謝とは、24時間の安静時の消費カロリーを指します。
しかし半身浴をしたところで、
24時間体温が上がったり血流が良い状態を保つことなんてできるでしょうか?
せいぜい数十分といったところでしょう。
ダイエットにおいて“基礎代謝を上げる”という文言はよく使われるのですが、
そもそもの話、ダイエット中に基礎代謝を上げるのなんて非現実的な話なのです。
ダイエットの過程で必ず基礎代謝は落ちていくものなので、
むしろ下がっていく基礎代謝とどう向き合っていくのかがダイエットの肝とも言えます。
詳しくはこちらで詳しく解説しいるので興味があればご覧ください。
半身浴の真の効果的
以上、半身浴のダイエット効果について否定的な意見を述べてきましたが、
半身浴自体を否定しているわけではありません。
半身浴は健康や美容面にこそ重要な効果があるのです。
- 冷え性改善
- 美肌効果
- むくみ改善
- 疲労回復
- 快眠効果
【半身浴の効果1】冷え性改善
体の冷えを解消するのには、
入浴が非常に効果的であるということは体感的に分かると思います。
一般的に人間は上半身に比べて下半身が低温の状態であり、
冷え症改善のポイントは下半身を温めるというところにあります。
いわゆる『頭寒足熱』です。
また効果を持続するためには、
ただ外部から熱を与えるというよりも、血流を促進することが重要になります。
半身浴は全身浴と違いって心臓に水圧がかからないため、
心臓による血液のポンプ作用を妨げずに血流を促進できます。
長時間下半身を暖められるため、
体の芯から温まることができるというところもポイントです。
【半身浴の効果2】美肌効果
汗をかいたり、血流を良くすることは、
肌を美しくすることに繋がります。
血流が良くなると肌の角質が代謝されたり、肌に酸素や栄養が届けられたりするため、
肌が美しい状態で保たれるのです。
ニキビ、しわ、たるみ、くすみ、肌の乾燥なども、
半身浴で血流が良くなったり汗で老廃物が排泄されることで改善することが出来ます。
【半身浴の効果3】むくみ改善(特に足)
むくみの原因は、
「血流やリンパの流れが悪くなることで水分が滞る」というところにあります。
そのため、半身浴により下半身を温めたり水圧を加える事で、
血流とリンパの流れを促進してむくみを解消することができるのです。
特に下半身の血流やリンパの流れを促すことが出来るため、
足のむくみを解消するのに効果的です。
ちなみに、“むくみ”についてもっと詳しく知りたい場合はこちらをご覧ください。
【半身浴の効果4】疲労回復
お風呂は「疲れを取るのに効果的」という印象はありませんか?
血流をよくすることで、
疲労物質である“乳酸”が除去されて疲労回復につながるのです。
このことは、
『筋肉痛の回復』や、『肩こり、腰痛の改善』にも同様の理由で効果があります。
ちなみに、筋肉痛について詳しく情報はこちらをご覧ください。
【半身浴の効果5】快眠効果
就寝の一時間程前に半身浴をすることで、
睡眠が促進され、快眠効果を得ることが出来るのです。
半身浴をすると、
“副交感神経”が優位な状態、いわゆるリラックス状態となり、
睡眠の準備ができます。
また、睡眠前に体温を高くすることは眠気を感じるためのポイントにもなるのです。
あとがき
以上、半身浴の効果についてでした。
半身浴はダイエットとしては非効率的でも、
健康や美容に良いのは間違いありません。
なので半身浴をする場合は、
『ダイエット』のためではなく『健康』や『美容』のために行いましょう。
半身浴もカロリーを消費するのでダイエット効果が無いわけでもないのですが、
痩せたいのであればカロリー収支をマイナスにするための習慣を身につけるのが重要です。
何はともあれ、まずはダイエットに関する基本的な手順を抑えておくのをおすすめします。
また、半身浴は適当に行ってもある程度効果が得られますが、
十分な効果を得るのにいくつかのポイントが有ります。
こちらにまとめているので、是非参考にして下さい。