筋トレのBIG3の一つとして名を連らね、下半身を強化するのには欠かせない筋トレがスクワットです。
スクワットは一見シンプルな動作ですが、間違ったフォームで行うと適切な部位に負荷がかからないだけではなく、膝や腰を痛める危険性もあります。
そこで今回、正しいスクワットのフォームやポイントを解説していきます。
さらに数多くあるスクワットの種類、バリエーションについても紹介していくので、自分に適したスクワットを実践して下さい。
目次
1.スクワットの概要
下半身の筋トレには欠かせない種目といえばスクワットです。
スクワットは数ある筋トレの種目の中でも代表的な3つの種目(BIG3)として、
ベンチプレス・デッドリフトとともに名を連ねています。
具体的にスクワットの何が優れているのかというと、
以下の点です。
- 大きな筋肉を鍛えられる
- 複数の筋肉を鍛えられる(コンパウンド種目)
- 動作がシンプル
- 器具がなくても行える
- バリエーションによって負荷のバランスや大きさを変えられる
初心者でも自宅で手軽に行えるスクワットですが、
シンプルな動作一つで大きな筋肉を複数鍛えることができるのです。
そして、負荷を重くしていくことも簡単にできるので、
本格的に下半身を鍛えていく上でも重宝します。
下半身の筋トレをする場合、
とりあえずスクワットから始めるのがおすすめです。
ただ、最近はスクワットがダイエットに効果的と言われる風潮があり、
スクワットをすれば痩せられると思っている人が多くいます。
確かにスクワットは筋トレとしてはとても優秀な種目ですが、
有酸素運動ではないのでカロリーはほとんど消費しませんし、
スクワットで脂肪や体重を落とすのは合理的ではありません。
ダイエット中に筋肉をあまり落とさないためにスクワットをするのは良いのですが、
脂肪を落とすには食事制限や有酸素運動でカロリー調整をする必要があります。
ダイエット目的でスクワットをしようと思っている人はこの点だけは抑えておきましょう。
詳しくはこちらにまとめています。
⇒スクワットは筋トレに最適だがダイエット効果はない!消費カロリーや基礎代謝について解説
2.スクワットで鍛えられる筋肉
スクワットの正しいフォームを身につけるには、
適切な部位に負荷がかかっていることを確認する必要があります。
そこで、スクワットがどこに負荷がかかり、重点的に鍛えられるのというのを、
きちんと理解しましょう。
図でなるべく分かりやすく解説していきます。
フォームによって負荷がかかる部位が若干違ってきますが、
主に鍛えられる部位は、太ももの前面“大腿四頭筋”、お尻の筋肉“大殿筋”、股関節の内側の筋肉“内転筋群”などです。
太ももの裏側、“ハムストリング”もある程度鍛えられます。
また、通常スクワットで鍛えられるのは下半身のみですが、
バーベルを持ってスクワットをする場合、上半身を安定させるため、
腹筋や脊柱起立筋など体幹もある程度鍛えることができます。
ここで筋肉について少し解説していきましょう。
2.1.大腿四頭筋
大腿四頭筋は、太ももの前面の筋肉、大腿直筋、中間広筋、内側広筋、外側広筋、
この4つの筋肉から構成されます。
そして人体で最も体積が大きい筋肉です。
機能としては膝を伸ばす動作に関係するので、
日常生活でよく使われますし、スポーツにおいては走ったりジャンプしたりキックしたりする際に重要になります。
また、大腿四頭筋は太ももの見栄えにも大きく影響します。
2.2.大殿筋
大殿筋はお尻を形成する筋肉であり、
単一の筋肉でなら最大の体積を誇る筋肉です。
主に足を後方に振る動作の時に使われますが、
両足同時に行う動作よりも歩いたり片足立ちになったりする際により刺激されます。
2.3.内転筋群
内転筋は股関節に位置する大腿のインナーマッスルです。
足を内旋する際に使われ、
内転筋を鍛えることで骨盤を支えたり足を内側に引き締めてO脚を改善することができます。
2.4.ハムストリング
ハムストリングは太ももの後方に位置する筋肉、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋、
これら3つの筋肉から構成されます。
ハムストリングは走ったり跳んだりする動作に大きく関わってくる筋肉なので、
大体のスポーツにおいてハムストリングを鍛えるとパフォーマンスの向上に繋がるのです。
また、太もものラインやヒップアップにも関係してくるので、
体の見栄えを良くするという点でもハムストリングの筋トレは重要になります。
ハムストリングを重点的に鍛えたい場合はスクワットよりもレッグカールがおすすめです。
⇒レッグカールのやり方と効果|自宅でできるハムストリングの筋トレ
3.スクワットの正しいやり方
続いてスクワットのやり方、正しいフォームについて解説していきます。
まずは、器具を使わない一般的なスクワットのフォームについて説明します。
3.1.一般的なスクワットのフォーム
■基本姿勢
- 肩幅に足を広げる
- 足先はやや外側を向ける
- 背筋を伸ばす
- 視線は前方
基本姿勢を保ったまま、以下の1~3を行います。
- 息を吸いながら地面と膝が平行になるまで膝を曲げる
- 息を吐きながら膝が伸びきらない程度にゆっくり立ち上がる
- これを繰り返す
3.2.一般的なスクワットのポイント
膝や腰の負担が気になる人は以下のポイントを気をつけて下さい。
■膝や腰を痛めないためのポイント
- 膝を曲げる向きはつま先と同じ方向
- 膝がつま先より前に出ないようにする
→膝を曲げるというより、お尻を後ろに引くイメージ
- 膝を曲げても腰は曲げずに背筋が伸びた状態を保つ
スクワットの応用的なフォームについても解説していきますが、
基本的にはどれも上記の項目がポイントになります。
そして、スクワットについてよく聞く悩みが、
「後ろに倒れそうなので膝があまり曲げられない」
ということです。
そういう人はお尻を引く際、
重心まで後ろに移行してしまっているのではないかと思います。
イメージとしては、太ももに体重を乗せ、
若干背中を反ることでお尻だけを後ろに引く感じです。
それでも後ろに倒れそうになったり上手く出来ない場合は、
椅子を用意してスクワットのフォームを意識しながら立ったり座ったりすると
イメージがつかみやすいのでおすすめです。
また、最初は慣れるまで手を壁についてバランスを取りながら行っても構いません。
3.3.スクワットの負荷と回数
スクワットに限らず筋トレにおいてトレーニングの回数を気にする人が多いですが、
それよりも負荷の重さの方が重要です。
例えば同じようにスクワットを10回やったとしても、
筋トレを始めたばかりの人と筋トレ上級者とでは筋肉に与えられる刺激は大きく異なります。
力を振り絞り10回のスクワットを終えた人は最大限の筋トレ効果を得られますが、
楽に何十回とできる人が10回やったところでまともな筋トレ効果は得られません。
また、筋トレを続けて筋力がアップしていくにつれ、
同じ負荷の同じ回数の筋トレでは徐々に効果が薄れていきます。
基本的には、
10回前後で限界を迎えるような負荷が筋トレとしては最適で、
それを限界まで追い込むトレーニングを3セット程行いましょう。
スクワットの負荷を重くしたり軽くしたりする方法についてもこれから触れていくので、
自分に合った負荷のバリエーションを選択して下さい。
ただし、スクワットは正しいフォームで行わないと危険なので、
まずは軽めの負荷でフォームを意識して行いましょう。
4.スクワットの種類【基本】
続いてスクワットのバリエーションについて見ていきましょう。
器具を使わず両足で行うスクワットのバリエーションは2種類あります。
- 膝を曲げる角度(どこまでお尻を落とすか)
- 足の開く幅
これらによってどのような筋トレ効果の違いが出てくるのかを説明していきます。
4.1.膝を曲げる角度(どこまでお尻を落とすか)
通常の、太ももと地面と平行になるように膝を曲げるのが“パラレルスクワット”。
そして腰を落とせるところまで落としたスクワットが“フルスクワット”、
膝を90度程に留めるスクワットが“ハーフスクワット”
さらに膝の角度が小さいスクワットが“クォータースクワット”
このような名前で呼ばれます。
ではこれらにどのような違いがあるのかというと、
膝を曲げるほど筋肉の可動域が広がり、バランス良く負荷がかけられるということです。
膝をあまり曲げないと全体的に負荷は軽くなりますが、
特に大殿筋やハムストリングの刺激は少なくなってしまいます。
また、フルスクワットは膝の負担が大きくなり痛めやすいと思われがちですが、
実はパラレルスクワットよりも安全です。
フルスクワットの場合、最も負荷がかかる膝を伸ばし始める動作において、
膝以外にハムストリングや大殿筋に負荷が分散されますが、
パラレルスクワットの場合、膝に負荷が集中してしまうのです。
ただし、フルスクワットは足関節の柔らかくないと、フォームが崩れやすいというデメリットもあります。
はじめはパラレルスクワットからはじめ、
フォームがしっかり身についたことを確認してからフルスクワットに移行するのをおすすめします。
4.2.足の開く幅
足をより大きく開くスクワットを“ワイドスタンススクワット”と言いますが、
大殿筋や内転筋がより鍛えられます。
足をより狭めるスクワットは“ナロースタンススクワット”と言い、
大殿筋や内転筋の負荷が軽くなる分、大腿四頭筋を集中的に鍛えることができます。
5.スクワットの種類【応用】
スクワットの基本的なバリエーションをご紹介していきましたが、
続いて器具を使って行うスクワットや応用的なスクワットについてご紹介していきます。
5.1.片足スクワット
片足でスクワットを行うことでトレーニングの負荷を高めることができます。
両足のスクワットを何十回もできるようになると、
そのままの負荷だと非効率で時間がかかるだけではなく、
しっかりとした筋トレ効果を得られないこともあります。
なので、そんな人は負荷を高める手段の一つとして片足スクワットがおすすめです。
片足で体を支え、逆の足は地面につかないように曲げ、
その状態でスクワットを行います。
片足で行う場合はバランスが取りにくいので、
壁や柱に捕まりながら行いましょう。
逆側の足を軽く地面につけた状態でも構いません。
ポイントとしては両足のスクワットと同じ要領で行うことです。
片足になると背中を丸めて前傾になってしまったり、
膝が前に突き出してしまったりする人が多いですが、
それでは膝に負荷が集中してしまうので痛めやすくなります。
きちんと背中を伸ばし、
膝は前に突き出さずにお尻を後ろに突き出すというのを意識しましょう。
5.2.シシースクワット
壁や柱でバランスを取りながら、
腰や膝を大きく前に突き出すスクワットをシシースクワットと言います。
一応スクワットですが、他のバリエーションのものとは大きく性質が異なり、
複数の筋肉を鍛えるトレーニングではなく、大腿四頭筋だけに負荷を集中させる種目です。
その代わりダンベルなどの重りを使わなくても、
自重だけで強度の高いトレーニングになります。
きつい場合は手すりを利用して起き上がることで負荷を軽くできますし、
逆にプレートを持ったりリュックサックを背負いながら行うことで負荷を重くすることもできます。
5.3.ブルガリアンスクワット
片方の足を後ろに引いてベンチや台に置いた状態で行うスクワットです。
片足で体を持ち上げるので通常のスクワットよりも全体的に負荷を重くできます。
片足スクワットと似ていますが、
ブルガリアンスクワットは大殿筋や大殿筋の内側の中殿筋を特に鍛えることができるスクワットです。
前足側の大殿筋、中殿筋が鍛えられるので、
両足ともバランス良く行いましょう。
ポイントとしては、通常のスクワットと同様、背中を伸ばし、膝を前に突き出さないこと、
そしてお尻に意識して負荷をかけることなどです。
5.4.ダンベルスクワット
両手にダンベルを持って行うスクワットです。
フォームや気をつけることは通常のスクワットと変わらず、
背中を伸ばすことや膝を突き出さずにお尻だけ後ろに突き出すのを意識して下さい。
鍛えられる筋肉も通常のスクワットと変わりません。
片足スクワットよりも簡単に負荷が調整できるので、
片足スクワットがきつい人はダンベルスクワットがおすすめです。
5.5.バーベルスクワット
バーベルを僧帽筋の上(首の後ろ)で固定して行うスクワットです。
負荷を重くできるだけでなく、
通常のスクワットに加えてバーベルを上半身で支える力を要する分、
腹筋や脊柱起立筋など体幹が鍛えられます。
バーベルを安定させるために手の幅は広めに取りましょう。
5.6.フロントスクワット
バーベルを肩(三角筋)の前部に乗せて手をクロスして持って安定させます。
その状態で行うスクワットをフロントスクワットと言います。
バーを前に持つと体が前傾になれないので、
自然と背中が伸び、それにより負荷が大腿四頭筋に集中します。
他と同様、膝が前に出ないようにしてお尻を後ろに突き出すイメージで行いましょう。
6.スクワットのフォーム・やり方まとめ
最後に今回の記事をまとめます。
■スクワットの基本フォーム
- 背中を丸めずに常に真っ直ぐに保つ
- 膝はつま先と同じ方向に曲げる
- 膝を前に突き出さない
- お尻を後ろに突き出す
■スクワットのバリエーション(基本)
- 膝を曲げる角度:大きく曲げるほど負荷が重くなり、大腿四頭筋、大殿筋、ハムストリングがバランス良く鍛えられる
- 足の幅:広くとるほど内転筋や大殿筋の負荷が重くなる
■スクワットのバリエーション(応用)
- 片足スクワット:全体的に負荷が大きくなる
- シシースクワット:大腿四頭筋にのみ負荷が集中する
- ブルガリアンスクワット:全体的に負荷が大きくなるが、特に大殿筋に集中する
- ダンベルスクワット:全体的に負荷が大きくなる
- バーベルスクワット:全体的に負荷が大きくなり、体幹も鍛えられる
- フロントスクワット:大腿四頭筋に特に負荷が集中する
ちなみに、下半身の筋トレについて詳しくまとめたので、
是非こちらもご覧ください。