下半身を鍛える筋トレは色々ありますし、ネットで調べたら簡単に見つけられます。
しかし、多種多様な筋トレはそれぞれ何が違うのか、また具体的にどの筋トレがどの筋肉に効くのか、そもそも下半身はどこを鍛えれば良いのか、などわからない人が多いのではないでしょうか。
そこで今回、下半身の重要な筋肉について説明した後、具体的な筋トレの種目について解説していきます。
下半身を鍛える際には是非参考にして下さい。
1.下半身の重要な筋肉
下半身を鍛えるには、スクワットやランジなどといった種目について知る前に、
まずは鍛える筋肉について理解を深めることが重要です。
ただ漠然と下半身の筋トレをするだけだと、
鍛えられない筋肉もあるのでバランスが悪くなります。
下半身の重要な筋肉について知り、
下半身を全体的に鍛えるにはどの種目を組み合わせれば良いのか、など理解しましょう。
さて、下半身を重要な筋肉ごとに分解すると、
主に5つの部位に分けることができます。
1.1.太もも前面(大腿四頭筋)
太ももの前面に位置しており、
全身で最も体積の大きい筋肉群、“大腿四頭筋”です。
大腿四頭筋は大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋の4つの筋肉の総称。
足の見栄えにおいて最も大きな影響がある筋肉ですし、
走ったり跳躍したりするのに関わるため、多くのスポーツにおいて特に重要視される筋肉でもあります。
大腿四頭筋は、膝関節を曲げた状態から伸ばす際に作用するため、
膝を伸ばす方向に負荷をかける筋トレで鍛えることができます。
1.2.太もも裏側(ハムストリング)
太もも裏に位置している筋肉“ハムストリング”です。
ハムストリングは大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の3つの筋肉の総称。
膝の曲げ伸ばしの際に大腿四頭筋とセットで働くため、
走ったり跳躍したりするスポーツで重要になります。
また、太ももの見栄えにも大きく関わってきますね。
ハムストリングは膝を伸ばした状態から曲げる際に作用するため、
膝を曲げる方向に負荷をかける筋トレで鍛えることができます。
1.3.内もも(内転筋)
内転筋群は太ももの内側にあり、
“恥骨筋”、“長内転筋”、“短内転筋”、“大内転筋”、“薄筋”の5つの筋肉の総称です。
内転筋を鍛えることで、
内ももを引き締めて太ももを細く見せたり、
太もも内側の筋を目立たせたりすることができます。
内転筋は名前通り、股関節を内転させる(内側に閉じる)際に作用するため、
股関節の内転方向に負荷をかける筋トレで鍛えることができます。
1.4.ふくらはぎ(ヒラメ筋・腓腹筋)
ふくらはぎの筋肉は“腓腹筋”と“ヒラメ筋”の2つによって構成されています。
このふくらはぎは、スタイルの良い女性は引き締まってスラッとしいますし、
ムキムキの男性はふくらはぎがボッコリと膨れ上がっている印象があるかと思います。
ふくらはぎも足の見栄えを左右する欠かせない要素です。
ヒラメ筋・腓腹筋は、足首を伸ばす際に作用するため、
足首を伸ばす方向に負荷をかける筋トレで鍛えることができます。
1.5.お尻(大殿筋・中殿筋・小殿筋)
“大殿筋”はお尻を形成する筋肉であり、
単一の筋肉でなら全身で最大の体積を誇る筋肉です。
主に足を後方に振る動作の時に使われますが、
両足同時に行う動作よりも歩いたり片足立ちになったりする際により刺激されます。
“中殿筋”は大殿筋に覆われている筋肉で、
“小殿筋”はさらにその深部に位置する筋肉です。
中殿筋・小殿筋は、股関節を外転させる(外側に開く)際に作用するため、
股関節の外転方向に負荷をかける筋トレで鍛えることができます。
続いて、具体的な筋トレの方法をご紹介しますが、
複数の部位を鍛えられる“コンパウンド種目”と単一の筋肉が鍛えられる“アイソレート種目”に分類してご紹介します。
■補足~コンパウンド種目とアイソレート種目~
- コンパウンド種目:漢字では「複合関節種目」と書き、名前の通り複数の関節を動かす筋トレの種目。複数の筋肉群が鍛えられる。
- アイソレート種目:漢字では「単関節種目」と書き、単独の関節のみを動かす筋トレの種目。単一の筋肉の部位のみが鍛えられる。
↓クリック(タップ)すると詳細までスクロールします。
1.コンパウンド種目
2.アイソレート種目
2.下半身の筋トレ【コンパウンド種目】
2.1.スクワット
- 鍛えられる筋肉:大腿四頭筋(メイン)、ハムストリング、大殿筋、内転筋
筋トレのBIG3としてベンチプレス、デッドリフトと名を連ねるスクワットです。
まさに下半身の筋トレの代表的な種目と言ってもいいくらいポピュラーで、
筋トレ初心者から上級者まで多くの層の人に推奨される筋トレです。
動きはシンプルで特別な器具は不要なので自宅でも手軽に行えますし、
バーベルやダンベルを持って行うことで負荷を大きくするのも容易にできます。
また、バリエーションも加えることで重点的に鍛える筋肉を調整したりできるのも利点の一つですね。
ただし、膝や腰を痛めやすい種目でもあるので、
はじめは正しいフォームを習得するのが重要になります。
スクワットの正しいやり方やバリエーションについてまとめているで是非ご覧ください。
⇒膝を傷めないスクワットの正しいやり方|負荷を調整するための8種類の方法
2.2.ブルガリアンスクワット
- 鍛えられる筋肉:大腿四頭筋、ハムストリング、大殿筋(メイン)、中殿筋、内転筋
スクワットには色んなアレンジがありますが、
その中でも代表的なものをここで取り上げます。
片方の足を後ろの台に乗せてスクワットをすることで、
よりお尻の筋肉“大殿筋”を重点的に鍛えることができるのが、このブルガリアンスクワットです。
また、片足で行うことで単純に下半身全体的の負荷を大きくすることにも繋がります。
通常スクワットで負荷を大きくするには、
バーベルやダンベルなど重りを腕に持って体幹で支えないといけないので、
下半身以外にも負担がかかってしまうのがデメリットとなります。
それに対しブルガリアンスクワットは安全に負荷を大きくできるので、
ある程度スクワットに慣れた人にとって重宝されている種目です。
ブルガリアンスクワットのやり方についてはこちらをご覧ください。
⇒ブルガリアンスクワットの正しいやり方
2.3.デッドリフト
- 鍛えられる部位:広背筋、僧帽筋、大腿四頭筋、ハムストリング、大殿筋、脊柱起立筋(バリエーションが多く、鍛える部位を調整できる)
- バーの前に立つ
- スネがバーに触れそうな位置まで近づく
- 足先は若干外側を向けて少し開
- バーを握る
- 両足を曲げ、ももが水平から45度くらいの角度になるようにする
- 胸を張り、背は少し反らせて固定する
- バーの真上に肩甲骨がくるようにする
- バーは順手で握る
- バーを持ち上げる
- 息を吸い、持ち上げる際は息を止める
- 下を向くと背中が丸まりやすいので前を向いた状態を保つ
- 上半身で引き上げるというより足で押し上げるイメージ
- バーが膝を通過したらお尻に力を入れ上半身を起こしていく
- バーは真上に上げる
- バーを完全に持ち上げたら息を吐く
- バーを下ろす
- まずお尻を突き出していき、膝の当たりまでバーが降りたら膝を曲げる
- この3.4.の動作を繰り返す
デッドリフトは重要な大きな筋肉を複数鍛えることができるため、
筋トレの代表的な3種目(BIG3)とされている種目です。
下半身だけでなく、背筋も鍛えることができますし、
やり方によって背筋に負荷を集中させたり、下半身にだけ負荷を集中させたりすることもできます。
ただし、フォームが少し難しく、間違ったフォームだと腰を痛めやすいので注意が必要です。
詳しいフォームや注意点、バリエーションなどはこちらにまとめているので、
ぜひこちらもご覧ください。
⇒デッドリフトの効果とやり方(フォーム)|背筋・下半身を鍛える筋トレ
2.4.フロントランジ
- 鍛えられる筋肉:大腿四頭筋、ハムストリング、大殿筋(メイン)
- 背筋を伸ばしまっすぐ直立する
- 前に大きく一歩踏み出し、太ももが地面と平行になるくらいまで腰を落とす
- 踏み出した足で地面を蹴って元の体勢に戻る
- 繰り返し2.3.を行い、もう片方の足でも同様に繰り返す(交互の足で2.3.を繰り返してもOK)
ランジも手軽に行えて、比較的ポピュラーな筋トレです。
鍛えられる筋肉はほとんどスクワットと変わりませんが、
スクワットが大腿四頭筋を重点的に鍛えられる種目なのに対し、
ランジは大腿筋が重点的に鍛えられます。
また、フォームの習得がスクワットよりも楽な分、
より初心者におすすめの種目です。
もちろん、スクワットと同様にバーベルやダンベルで負荷を大きくできるので、
上級者でもよくメニューに取り入れられています。
2.5.サイドランジ
- 鍛えられる筋肉:大腿四頭筋、ハムストリング、大殿筋(メイン)、内転筋(メイン)
- 足を45度くらいに大きく広げた状態で立つ
- 片方の膝を曲げ腰を深く落とす
- 元の体勢に戻す
- 繰り返し2.3.を行い、もう片方の足でも同様に繰り返す(交互の足で2.3.を繰り返してもOK)
サイドランジは横方向に行うランジですが、
内転筋がより鍛えられる筋トレです。
フロントランジやサイドランジについて詳しくまとめているので、
ぜひこちらもご覧ください。
⇒ランジ(フロント・サイド)の筋トレ効果とやり方|スクワットの違いを解説
2.6.レッグプレス
- 鍛えられる筋肉:大腿四頭筋(メイン)、ハムストリング、大殿筋、内転筋
- マシンに深く座り、背中やお尻をマシンとピッタリとくっつけて、手は横にあるバーをしっかり握る
- 両足をやや開いた状態でプレートにつけてストッパーを外す
- ゆっくり息を吸いながら太ももが胸につくくらい膝を大きく曲げる
- 息を吐きながら膝を伸びきる直前まで伸ばす
- これを繰り返す
専用のマシンが必要になるので、
通常はジムで行う筋トレ種目です。
レッグプレスはスクワットとほぼ同様の動きなので、
鍛えられる筋肉もほぼ同じです。
ただ、スクワットの場合は体幹の力も必要ですし、
負荷を大きくする際に特に上半身の力が必要になります。
それに対しレッグプレスはどんなに負荷を大きくしても、
必要なのは下半身の筋肉のみなので、これがメリットにもなりますしデメリットにもなるのです。
これはマシントレーニングとウエイトトレーニングの特性でもありますね。
初心者の場合は簡単かつ安全なレッグプレスをおすすめする人が多いです。
レッグプレスのやり方についても詳しくまとめているのでぜひご覧ください。
⇒レッグプレスの筋トレ効果と正しいやり方|スクワットにはない利点とは
3.下半身の筋トレ【アイソレート種目】
続いて、単独の筋肉を鍛えることを目的としてアイソレート種目について紹介していきます。
3.1.カーフレイズ(ふくらはぎ)
- 鍛えられる筋肉:ふくらはぎ(腓腹筋、ヒラメ筋)
- 膝を伸ばし足首を大きく動かせるように台につま先をのせ、壁に手をつきバランスを保つ
- つま先に力を入れて一気に踵を上げる
- ゆっくり踵を下げる
下半身の筋トレは多くの種目がありますが、
中でもカーフレイズはふくらはぎを鍛えられる数少ない筋トレです。
そして、ふくらはぎの筋肉は重力に逆らって血液を心臓まで戻す役割があるため、
「第二の心臓」とも言われ、健康や美容に大きく関わっています。
また、ふくらはぎは足の見栄えを大きく左右するので、
女性、男性問わず筋トレの際には鍛えるのをおすすめします。
カーフレイズのやり方やバリエーションなども詳しくまとめているのでぜひこちらもご覧ください。
⇒地味だけど重要!カーフレイズのやり方と効果|ふくらはぎの筋トレ
3.2.レッグカール(ハムストリング)
- 鍛えられる筋肉:ハムストリング
- ベンチにうつ伏せになり両足でダンベルを挟んで膝下はベンチの外に出す
- 膝を90度くらいまでゆっくり曲げる
- 膝をゆっくり伸ばす
- これを繰り返す
ハムストリングを集中的に鍛えることができる数少ない筋トレが“レッグカール”です。
基本的にマシンで行いますが、
ダンベルなどあれば上記のように自宅で行うこともできます。
コンパウンド種目でハムストリングを鍛えることはできますが、
基本的に足を伸ばす際の負荷が大きくなるため、ハムストリングよりも大腿四頭筋の方がが鍛えられる種目が多いのです。
なのでハムストリングを鍛えたい場合、
このレッグカールは非常におすすめの種目です。
レッグカールのやり方や注意点などはこちらをご覧ください。
⇒レッグカールのやり方と効果|自宅でできるハムストリングの筋トレ
3.3.アダクション(内転筋)
- 鍛えられる筋肉:内転筋
- 地面に横になり、肘で上体を支え、上の足は膝を立てて下の足の前に出す
- 下の足の膝を伸ばした状態を保ち、ゆっくり上に高く持ち上げる
- 上げた足をゆっくり元の位置に戻す
- これを繰り返す
- 体勢を反転して反対の足でも同様に行う
内もも、つまり内転筋を集中的に鍛える筋トレが“アダクション”です。
アダクション(adduction)とは内転という意味で、
名前通り股関節を内転させる筋トレです。
自宅で器具を使わずに行うこともできますが、
チューブを使ったり、ジムで行うことで大きな負荷をかけて行うこともできます。
アダクションのやり方やバリエーションについてはこちらをご覧ください。
⇒アダクションの効果と正しいやり方|内ももを引き締める筋トレ
3.4.ヒップアブダクション(中殿筋、小殿筋)
- 鍛えられる筋肉:中殿筋、小殿筋
- 床に横向きに寝て肘で上体を支える
- 上側の足の膝を伸ばした状態を保ち、ゆっくり上に高く持ち上げる
- 上げた足をゆっくり元の位置に戻す
- これを繰り返す
- 体勢を反転させて反対の足でも同様に行う
外転筋と呼ばれる筋肉群、中殿筋や小殿筋を集中的に鍛える筋トレが“ヒップアブダクション”です。
前項のアダクションと似た名前ですが、
アブダクション(abduction)とは外転という意味で、
名前の通り股関節を外転させる筋トレです。
これはアダクションの負荷が逆になっただけなので、
アダクションとセットで覚えておくと良いでしょう。
アダクションのやり方やバリエーションについてはこちらをご覧ください。
⇒ヒップアブダクションの効果とやり方|お尻の外転筋を鍛える筋トレ
3.5.レッグエクステンション(大腿四頭筋)
- 鍛えられる筋肉:大腿四頭筋
- マシンに深く座り、背もたれやパッドの位置を調整する
- 横のグリップを軽く握り、足首を曲げた状態で息を吐きながら足を伸ばす
- 息を吸いながらゆっくり足を下まで下ろす
- これを繰り返す
大腿四頭筋を重点的に鍛えるアイソレート種目です。
スクワットに比べると簡単で膝や腰の負担が少ないというのが大きな利点です。
レッグエクステンションのやり方や注意点などはこちらをご覧ください。
⇒レッグエクステンションの筋トレ効果と正しいやり方|ジムで太ももを鍛える種目
4.種目の選び方や取り組み方
下半身を鍛える10種類の筋トレをご紹介しましたが、
どの種目をどのように取り組むのか、どのようにメニューを組めば良いのか悩む人も多いかと思います。
そこで最後に2つのアドバイスです。
- どの部位に効果があるのかを理解する
- 基本としてはコンパウンド種目から行う
4.1.どの部位に効果があるのかを理解する
まずはどの筋トレがどの部位に効くのかを理解することが大事です。
例えば、
スクワットは下半身の筋トレの中でも優れたトレーニングといわれることが多いですが、
スクワットだけではふくらはぎは鍛えられませんし、お尻をしっかり鍛えるには不十分です。
見栄えの良い体にするためには特定の部位だけではなく、
お尻、ふくらはぎ、太ももを全体的に鍛える必要があります。
それぞれの部位に対応したトレーニングを行うためにも、
どの筋トレがどの部位に効くのかというの理解しましょう。
またその知識があれば、効かせる部位を意識しながら筋トレが行えるので、
正しいフォームを取得でき効果的なトレーニングにつながります。
4.2.基本としてはコンパウンド種目から行う
今回、複数の筋肉が鍛えられるコンパウンド種目と、
単独の筋肉の部位が鍛えられるアイソレート種目を紹介していきました。
特別な理由がなければ、
はじめにコンパウンド種目を行い、重点的に鍛えたい部位を最後にアイソレート種目で補う
という手順で行って下さい。
コンパウンド種目は複数の筋肉を使うことから、
大きな負荷をかけることができるというのが利点なのですが、
アイソレート種目で疲労が残っている状態で行ってしまうとこの利点が薄れてしまいます。
なので、基本はコンパウンド種目から行い、
後にアイソレート種目で追い込むというようにしましょう。
以上で下半身の筋トレの紹介は終わりです。
ちなみに、他の部位の鍛え方についても詳しくまとめているのでぜひご覧ください。。