奇跡のスーパーフードと言われ、健康や美容に様々な恩恵を与えてくれる「チアシード」ですが、このチアシードの食べ方についていくつか副作用に関する問題が上がることがあります。
それは、「水に戻さずに生で食べると、チアシードの“発芽毒”が人体に悪影響を与え、癌や糖尿病などの危険がある」というものです。
今回はこのことの真相について詳しく説明していき、さらに「高温調理はNG」ということについても言及します。
目次
チアシードは水に戻さないと危険?
チアシードの食べ方についてネットで調ると、
「水に戻さないと発芽毒が人体に悪影響を及ぼすため危険」
という情報が一番に飛び込んでくるかと思います。
チアシードの発芽毒について以下のように言われています。
■チアシードの発芽毒に関するネット上の情報
- チアシードには発芽毒(アブシジン酸)が多量に含まれる
- 発芽毒は細胞内のミトコンドリアを傷つけてしまい、それにより肥満、糖尿病、がん、免疫力低下など健康にあらゆる悪影響を及ぼす
- 発芽毒を処理するには水に24時間つける必要がある
ほとんどのサイトで同様のことを言っていますね。
しかしこのような疑問を感じた人もいるでしょう。
そうなんです。
実は「チアシードの発芽毒が危険」説は、ネットにしか書かれていないのです。
この段階でピンときた人もいると思いますが、
結論をいうと、この説は一切根拠のないものであり、
知識のない人が信憑性を確かめずに無責任に拡散してしまった情報だったのです。
「チアシードは水に戻さないと危険」説が間違いと断言できる理由
ではなぜこの情報が間違いであると断言できるのかについて説明します。
色々と突っ込みどころがある説なのですが、
この説が間違いである根拠は主に以下の3つです。
- チアシードの発芽毒の危険性に関するソースが一切ない
- チアシードには発芽毒がほとんど入っていないとの発表がある
- 発芽毒自体、健康に悪いとは言い切れない
1.チアシードの発芽毒の危険性に関するソースが一切ない
「チアシードの発芽毒が危険」と書かれているサイトを確認したらわかると思いますが、
その情報のソースが示されているものは一切ありません。
こういう情報を提示する場合、
普通は研究論文や、医師の発言、実例などが引用されたりするものです。
しかし、これが書かれているサイトにそんなものは一つもなく、
どれもみな、コピペのように同じ情報が並べられているだけです。
それもそのはず。
チアシードの発芽毒の危険性について一応探せるだけ探してみましたが、
論文や海外の情報などに、このことに言及しているものを見つけることはできませんでした。
そもそも「チアシードを水に戻した方が良い」という情報は日本でしか広まっていないようなのです。
また、この説が書かれているサイトは決して知識がある人が運営しているものではなく、
個人が運営している信憑性がないブログやコピペばかりのキュレーションサイトだけでしたしね。
恐らくきちんと情報が確かめられずに無責任に拡散されてしまったのだと思います。
2.チアシードには発芽毒がほとんど入っていないとの発表がある
チアシードを商品として扱っている会社「株式会社ファイン」から、
チアシードの発芽毒に関する見解が発表されました。
概要としては以下の通り。
- 発芽毒と呼ばれるアブシジン酸は一般的にどの種子にも含まれるものである
- 製品に含まれるアブシジン酸の量を測定すると極微量(0.001ppm=0.000001%)であった
- 最低でも1日1.3Kg以上のチアシードを食べないとアブシジン酸は人体に影響を与えない
1日の推奨量が10gなので、130倍ものチアシードを食べない限り問題はないのです。
株式会社ファインの製品だけ特別発芽毒が少ないというのは考えにくいので、
チアシード自体、発芽毒の量は無視できるほど微量であると言えるでしょう。
3.発芽毒自体、健康に悪いとは言い切れない
そして、発芽毒が健康に悪いという情報がある一方、
「アブシジン酸が消費者の健康を害する可能性はない」という報告も
米国環境保護庁(EPA)から出ています。
詳細:食品安全関係情報詳細(米国環境保護庁(EPA)、植物調節剤、S-アブシジン酸の残留基準値設定免除に関する規則改定)
「発芽毒がミトコンドリアを傷つけることで肥満や癌、糖尿病などになりやすい」
と言われていましたが、チアシードの発芽毒の有無以前に、これすらも確かな情報ではなかったのです。
つまり、「チアシードの発芽毒が危険」というのは、
何から何まで根拠のない、いい加減な情報だったということです。
わざわざチアシードを水に戻すのは必要のないことだったのです。
チアシードを水に戻す意味はあるのか?
では、発芽毒の危険が無いとわかった今、
チアシードを水に戻す意味はあるのでしょうか?
これについてはただひとつだけ、
“プチプチの食感が楽しめる”ということが挙げられます。
チアシードの表面には“グルコマンナン”という水溶性食物繊維が覆っており、
この成分が水分を吸収して膨らみ、プチプチの食感になるのです。
この食感は水に戻さないと味わえないので、
このために水に戻すのもいいでしょう。
他には
「水を吸収してしまうのでそのままだと便秘になる」
「水に戻さないとダイエット効果が見込めない」
などもネット上で少しだけ見かけましたがこれらも気にする必要はありません。
これらも発芽毒と同じくらい根拠のない情報です。
高々100ml程度の水を食べる前に吸収させなかったからと言って、
体内で大きな変化があるはずがないですからね。
水分が吸収されると少し見た目がグロテスクになりますし、
かさが増して食べにくいという人も多いと思うので無理に水に戻す必要はありません。
水の戻し方について
ついでに水の戻し方について説明します。
手順としては以下の通りです。
- 容器にチアシード10g(大さじ1杯弱)を入れる
- 100mlの水を加えて数時間放置する
※一日の摂取量が10gなのでここでは10gとしていますが、これより多い場合でもチアシードの10倍の量の水を加えて下さい
どれくらい放置すればいいのかということですが、
私の場合は十分に水を吸収するまで“2時間”はかかりました。
ただ、2時間も待てないと思うので、
あらかじめ水につけたチアシードを冷蔵庫に放置しておくのをおすすめします。
“2~3日”は日持ちするみたいです。
「熱を通したら栄養が損なわれる」というのも嘘
それとチアシードの食べ方について、
ネット上でもう一つ間違った情報が拡散されています。
それは、「熱を通したら重要な栄養素が損なわれる」というものです。
具体的には、“α-リノレン酸”という良質な脂質が酸化してしまい、
体に悪い栄養素になってしまうと言われています。
α-リノレン酸は、
中性脂肪や悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす性質があるのですが、
熱によってすぐに酸化しやすいという欠点もあるのです。
そのため、他のα-リノレン酸を含む他の食品、家庭用植物油などは、
高温の調理をしない方が良いとされています。
しかし、チアシードには関しては別です。
確かにα-リノレン酸が豊富なのですが、
潰したりしない限り熱に強い種皮に無酸素の状態で包まれているため、
高温の調理でも問題ないのです。
直接フライパンで熱したり、揚げたりすれば、
種皮が壊れて中のα-リノレン酸が酸化する可能性もありますが、
クッキー生地に入れたり、料理に添えたりする程度なら全く問題ありません。
参考:HOW TO PROPERLY COOK WITH CHIA SEEDS | Mind-Body-Soul Coaching with Claire Obeid
おすすめのチアシードの食べ方
最後にチアシードのおすすめの食べ方をご紹介します。
チアシードは水に戻さないといけないとか、
熱したらいけないというような制限はないことが分かっていただけたと思うので、
通常の食事でも食後のデザートでもドリンクでも、何にでも使うことできます。
中でも人気の食べ方は以下の3つです。
- ヨーグルトに加える
- 食感を楽しむ場合は水に戻したチアシードを使用したり、ヨーグルトにチアシードを加えてしばらく放置する
- 食感を楽しむ場合は水に戻したチアシードを使用したり、ヨーグルトにチアシードを加えてしばらく放置する
- 飲み物に加える
- カルピスや牛乳、豆乳、スムージーなどが人気
- カルピスや牛乳、豆乳、スムージーなどが人気
- クッキーやパンの生地に混ぜて焼く
- 種皮を潰してしまわないように注意
- 種皮を潰してしまわないように注意
チアシードの食感を活かすために水分が多いものに加えるか、
生地に混ぜて気にならないようにするかというものですね。
他にも色々な食べ方など考えられるので色々お試しください。
ちなみに、チアシードの栄養や効能の詳細、ダイエット効果などもまとめています。