ダイエットや筋トレという分野は次々とインチキ商品が発売され、芸能人による宣伝やネット上でのステマによって広まっていきます。
以前詳しく解説しましたが、酵素ドリンクやサウナスーツなど、多少知識があったり調べたりすれば明らかに効果がないのが分かるものでさえも、長年売れ続けているというのが現状です。
そして2017年から流行し始めた『加圧シャツ』もこれまでのインチキ商品と何ら変わりません。ダイエットや筋トレの効果は全くないです。
運動の補助としては使えなくもないのですが、それなら『コンプレッションウェア』の方がはるかにおすすめです。
ただ、コンプレッションウェアとは違い、加圧シャツは1件成約につき何千円という報酬があるためブログによる加圧シャツのステマが横行しているのです。
加圧シャツが大手メーカーやスポーツ用品店では扱っておらず、通販でしか購入できないということを考えると何となく察しがつくかと思います。
では、なぜ加圧シャツに効果がないかということを解説していきます。
目次
加圧シャツの4つの効果は全て嘘!
加圧シャツの筋トレやダイエットにおける効果は以下のものが言われています。
- 「加圧シャツ+筋トレ」で加圧トレーニングと同様の効果がある
- 着用するだけで常時筋トレ効果が得られる
- 締め付けることでウエストが細くなる
- 基礎代謝が上がり痩せる
これらは全て嘘なのですが、順番に一つずつ解説していきます。
1.加圧トレーニングは全く別物
加圧トレーニングとは、
専用のベルトで脚のつけ根や二の腕を圧迫して筋肉を低酸素状態にして行う筋トレを指します。
筋肉に効率的に乳酸を貯めることができ、
成長ホルモンの分泌が促されます。
きちんとした施設とインストラクターが必要な分、
通常の筋トレよりも軽い負荷で簡単に筋トレ効果を得られるため、
短時間で効率的かつ安全に行えるというのが大きなメリットです。
加圧トレーニングは科学的根拠に基づいたトレーニング法であり、
一流アスリートにも取り入れられています。
しかし、人それぞれ適切な圧力を脚や腕にかけて低酸素状態を作り出す必要があるため、
ただ体を締め付ける加圧シャツでは同様の効果を得られないのです。
2.加圧で筋肉が鍛えられることはない
「加圧シャツはただ着ているだけで筋トレ効果が得られるので、何もしていなくても実質24時間筋トレをしたことになる」と言われています。
楽をしたい人にとってはこれほど刺さる言葉はないと思いますが、
寝ているだけで痩せるサプリメントと同レベルです。
筋トレで筋肉が鍛えられるメカニズムを知っていれば、
「着るだけで筋トレ」というのがありえないのが分かるかと思います。
- 筋肉に大きな負荷をかけて損傷させる
- 栄養と休養をとる
- 損傷が回復すると元より大きくなる
要は人間の環境適応力によるもので、
以前の大きな負荷に耐えられるように筋肉が強度を増していくのです。
加圧シャツ程度の圧力では筋肉を損傷させることもないので、
筋トレ効果が得られることはありません。
外部から力を加えて筋肉を鍛えるというと、
ボクサーが取り入れる腹筋のトレーニングが代表的です。
無防備な状態で腹筋をボディ打ちしたり、
ボール(メディシンボール)を落としたりといったものです。
このトレーニングはボディ打ちに耐えるだけでなく腹筋を鍛えるのに十分な効果があります。
しかし、圧力を加えて筋肉を鍛えるとなると、
このトレーニングのように瞬発的な力を加える必要があるのです。
締め付ける程度の力では筋トレ効果を得られることはできません。
3.ウエスト引き締めは着用している時だけ
加圧シャツを着れば脂肪が引き締められるので、
ポッコリお腹を隠したり体を細く見せることができます。
ただし、それは脂肪を押さえつけているだけなので、
加圧シャツを脱いだら元の体に戻ります。
着ている内に徐々にウエストが細くなるなんてことはありえません。
ただ、こういう反論をする人もいるでしょう。
「世界一ウエストが細いとしてギネス記録に載っている女性は、コルセットで常にウエストを締め付けることで細くしたと聞いた。だからウエストを締め付けていたら細くなるはずだ。」
確かにコルセットで締め付けることで40cmという驚異的なウエストを手に入れた人はいますが、
これに関しては全く別のレベルの話です。
脂肪を落とし、さらに内臓の位置を変化させるまで力を加え続けて矯正した例であり、
全身を締め付ける程度の加圧シャツと同等に考えてはいけません。
加圧シャツでお腹の脂肪が消えることはありませんし、
内臓の位置が矯正されるわけでもありませんからね。
また、ギネス記録に載っているCathie Jungさんは、
コルセット着用時に38.1cmのウエストですが、コルセットを外すと53.34cmになります。
コルセットを外しても細いのは間違いないですが、
一般の人とかけ離れているレベルではないのです。
4.加圧シャツで基礎代謝が上がることは絶対にない
「加圧シャツを着ることで基礎代謝が上がり痩せやすい」と言われます。
主に、“筋肉がつくこと”や“姿勢が矯正されること”などが理由として見受けられます。
筋肉や内蔵など体の組織を正式に活動、維持するために消費するエネルギーであり、何もしなくても消費されるカロリーを指す。
1日の消費カロリーのうち、運動や食事のカロリーを除いたもので、全体の6~7割を締める。
しかし、このサイトで何度も言っていますが、
『基礎代謝を上げるダイエット』というのは一つ残らずインチキであると断言できます。
理由としては、基礎代謝はほぼ体組成によって左右されるため、
ダイエットに影響があるほど基礎代謝を上げるには、食事をたくさん摂り体を大きくするしか方法がないからです。
よくある「筋トレで基礎代謝UP」というのも、
脂肪を落としながら筋肉をつけるというのは不可能ですからね。
詳しくはこちらにまとめています。
ダイエット中に筋トレを行うことで筋肉の減少を抑えることができるので、
体脂肪率を効果的に落とすのには有効です。
いずれにしても加圧シャツは筋トレ効果すら無いのでそれ以前の問題ですが。
コンプレッションウェアはおすすめ
『コンプレッションウェア』は加圧シャツと同様に体を圧迫する効果があるウェアですが、
こちらはきちんと科学的な根拠がある製品です。
加圧シャツとは違い、
UNDER ARMOURやMIZUNO、NIKEなど大手メーカーがこぞって開発、販売をしているというだけでも信頼に値するのではないでしょうか。
野球のアンダーシャツが代表的ですが、
他のスポーツにおいても種目を問わず好まれます。
上半身のピッチリとしたウェアを想像するかもしれませんが、
ランニングタイツなどもコンプレッションウェアに分類されます。
得られる効果は筋肉増強やダイエットなどではなく、
筋肉の無駄な振動を防ぐことによるパフォーマンスの向上やスタミナ向上、疲労の抑制など。
筋トレ時のサポートなどとしても効果がありますが、
個人的にはランニングなどの有酸素運動の時にこそおすすめです。
ランニングなどで太ももやふくらはぎが筋肉痛になりやすい人は、
タイツで振動が抑制されて快適に走れるのがすぐに実感できると思います。
実際、私自身タイツを着用してからランニングで筋肉痛になることはほとんどなくなりました。
加圧シャツでもコンプレッションウェアと同様の効果が得られる可能性もありますが、
適切な圧力、形状によって得られるものなのであまり期待はできません。
コンプレッションウェアのように大手メーカーが競い合って開発されてきたものではないですからね。
いずれにしても加圧シャツを購入するくらいなら、
コンプレッションウェアを購入して運動や筋トレのモチベーションにする方が良いでしょう。
あとがき
以上、加圧シャツの効果についてでした。
要はコンプレッションウェアの類似品ですが、
コンプレッションウェアのように開発にコストがかかっているのではなく、
広告にコストをかけている商品と言えるでしょう。
真っ当な知識がある人なら絶対に購入しないと断言できます。
ダイエットにおいてはこの他にもネット上のステマが流行っているため、
間違った知識を覚えてしまう可能性があります。
ダイエットをする際はまずは痩せるための正しい知識をしっかり学び、
正しい方法を取り入れましょう。