運動ダイエットにおいてよく出てくる言葉が、「有酸素運動」と「無酸素運動」です。
どちらが優秀ということではなく、それぞれ異なる特性がありダイエットにおいても役割が異なります。
今回はそれぞれの種類や役割、取り組み方について詳しく説明していくので、ダイエットで運動に取り組む場合はぜひ参考にして下さい。
目次
1.有酸素運動・無酸素運動とは?
有酸素運動 | 無酸素運動 | |
---|---|---|
特徴 | 長時間続けられる | すぐに力尽きる(数秒~数十秒) |
種目 | ウォーキング、ジョギング、自転車、階段昇降 | 全力疾走、筋トレ |
主なエネルギー源 | 脂肪 | 糖質 |
役割 | 消費カロリーを増やしてダイエット | 筋肉に負荷を与えることで筋肉増強、またはダイエット中の筋肉低下の抑制 |
運動には大きく分けて“有酸素運動”と“無酸素運動”の2種類があります。
難しそうな話に感じるかもしれませんが、
これらの違いはとても単純で、ただ“運動の強度”によって分類されているだけです。
- 有酸素運動:長時間継続できる運動(ウォーキング、ジョギング、自転車、縄跳び)
- 無酸素運動:瞬発的な運動(全力疾走、筋トレ)
“長時間続けられるなら有酸素運動、続けられないほどきついなら無酸素運動”
と覚えておきましょう。
ただこれらに明確な境界はなく、
この運動は有酸素運動、この運動は無酸素運動、というように定義されているわけではありません。
ランニングも速度が遅ければ有酸素運動ですが、
すぐに息が上がるくらいの速度になれば無酸素運動になりますからね。
そして、この運動の強度が変わることによって、
運動に使われるエネルギーの供給の仕方が変わるのです。
有酸素運動は、酸素を取り込んで脂肪を燃やして運動のエネルギーを生産します。(エネルギー生産に酸素を用いる⇒有酸素)
しかしこのエネルギー生産には時間がかかるため、
無酸素運動のような突発的に大きなエネルギーが必要な運動の場合間に合いません。
無酸素運動の場合はすぐに取り出せるエネルギー、
筋肉中に蓄えられているグリコーゲン(糖質)がエネルギー源として使われるのです。
(エネルギー生産に酸素を用いない⇒無酸素)
- 有酸素運動のエネルギー:酸素を取り込んで脂肪を燃やすことで生産される。生産に時間が掛かるが長時間供給し続けられる。
- 無酸素運動のエネルギー:筋肉中に蓄えられているグリコーゲン(糖質)。すぐに大きなエネルギーを取り出せるが、長時間供給し続けることができない。
2.有酸素運動・無酸素運動それぞれの役割
続いて、有酸素運動と無酸素運動それぞれの役割について見ていきましょう。
- 有酸素運動の役割:長時間行えるため、総消費カロリーを多くすることができ、ダイエットに役立つ。しかし、筋肉に十分な負荷が与えられないので筋肉増強は見込めない。
- 無酸素運動の役割:筋肉を効果的に損傷させることができるため、きちんと栄養を取って回復させれば筋肉が増強できる。しかし、長時間行えないので多くのカロリーを消費するのは困難。
要は、「有酸素運動=脂肪燃焼」「無酸素運動=筋肉増強」といった感じです。
ただこれに関して多くの人が勘違いしていることがあるので、
少し触れていきたいと思います。
2.1.無酸素運動は脂肪が減らない?
有酸素運動は酸素を取り込んで脂肪を燃やしてそれをエネルギー源としますが、
無酸素運動の場合はエネルギー生産に脂肪はほとんど使われません。
そのため、
「有酸素運動は脂肪をエネルギーとして消費するからダイエットに効果的」
「無酸素運動は脂肪を消費しないのでダイエット効果はない」
このように考える人は多いです。
しかし、これは間違いです。
無酸素運動であってもエネルギーは消費しているため、
ダイエット効果がないというのはおかしいというのが分かるかと思います。
実は、運動によって脂肪が使われるか糖質が使われるかというのは、
ダイエットに影響しないのです。
糖質が使われればその後の食事によって糖質が優先して補われますし、
脂肪が使われれば食事で糖質を補う必要がない分、脂肪が増えます。
また、糖質が消費されなければいずれは脂肪に変わってしまいますからね。
結局、運動で脂肪が使われようが糖質が使われようが、
気にする必要はないのです。
大事なのは、その運動で消費される“カロリー”です。
無酸素運動が有酸素運動よりもダイエットに向いていないというのは、
脂肪が使われないからではなく、単に消費カロリーが低くなるからです。
2.2.無酸素運動で筋肉を増やせばダイエット効果が見込める?
「無酸素運動で筋肉を増やせば基礎代謝が上がり痩せる体質になる」
と言われることがあります。
しかしこれは全くの見当違いなので、しっかり抑えておきましょう。
そもそも、
「筋トレをしたら脂肪が筋肉に変わる」と思っている人は多いのではないでしょうか。
これも間違いです。
筋肉は現在体に付いている脂肪が変化するのではなく、
食事でとった栄養が筋肉になるのです。
少なくとも消費カロリー以上のカロリーを摂取しないと、まともに筋肉は増えません。
どんなにきつい筋トレをしてもです。
そして筋肉が増える時、脂肪も一緒に増えてしまいます。
つまり、ダイエット中、脂肪を落としながら筋肉を増やすというのが不可能なのです。
また筋肉が担っている基礎代謝も少なく、
数ヶ月必死に筋トレをして1Kg筋肉を増やしたとしても飴玉1~2個程度にしかなりません。
ただ、無酸素運動がダイエットにおいて意味が無いということでもありません。
通常、カロリー収支をマイナスにすると、
脂肪だけではなく筋肉も同じくらい一緒に落ちてしまいます。
これを最低限に抑えるのが無酸素運動の役割です。
無酸素運動で筋肉に負荷を与えることで筋肉の低下を軽減することができるのです。
筋肉を維持するのは見栄えの良い体にする上で重要なのですが、
それでけではありません。
筋肉分解によって生産されるカロリーが少なくなるということは、
その分脂肪が多く分解されるということです。
ダイエット中の無酸素運動は、
“筋肉を増やして基礎代謝を上げるためではなく、筋肉の低下を防いで体脂肪率を効果的に落とすために行う”
ということをしっかり覚えておきましょう。
3.有酸素運動・無酸素運動の取り組み方や順番
続いて、有酸素運動と無酸素運動の両方を取り組む際の順番のについて見ていきましょう。
3.1.ダイエット目的の場合
「有酸素運動の前に無酸素運動を行うと脂肪燃焼効果がUPする」
とよく言われています。
この理論の概要は以下の通り。
- 有酸素運動は脂肪が主なエネルギー源だが、運動しはじめはエネルギー生産が追いつかないので糖質が使われる
- 通常、運動をはじめてから20分くらいで脂肪の燃焼が盛んになる
- 無酸素運動をすると成長ホルモンの影響で脂肪が燃えるのが早くなる
しかし前述した通り、
運動で糖質が使われようが脂肪が使われようがダイエットに影響しません。
むしろ無酸素運動の影響で有酸素運動のパフォーマンスが落ちることを考慮すると、
逆効果になりかねません。
両方取り組む場合は、
連続で行わずに別々の日や時間を開けて行うのが好ましいです。
連続して行う場合は有酸素運動のパフォーマンスを保つために、
先に有酸素運動を行いましょう。
またこの理論と同じで、
「有酸素運動は20分以上じゃないと脂肪が燃えないので意味がない」と言われますが、
もちろんこれも誤りです。
3.2.筋肉増強目的の場合
筋肉をつける目的でも有酸素運動は重要な役割を担っています。
それは、筋トレの回復時に有酸素性能力が関わっているからです。
通常筋トレは1セットやったら終わりということはなく、
休憩を挟んで繰り返し行うことで効率的に筋肉に負荷を与えることができます。
そして、休憩中にいかに筋力を回復させるかというのが筋トレの質に関わっています。
つまり、有酸素運動は筋トレの質を向上させるために必要なのです。
しかし、これも連続して行うのはデメリットしかないので、
別々の日や時間帯に行いましょう。
連続して行う場合は筋トレから行うのが望ましいです。
あとがき
以上、有酸素運動・無酸素運動の違いや目的別の取り組み方を解説していきました。
これらは別々の役割があるので、
それぞれの運動に優劣はありません。
目的に応じて取り組んでいきましょう。
ちなみに運動ダイエットの基本について詳しくまとめているのでぜひこちらもご覧ください。