人間は1ヶ月というスパンで最大どれだけ体重を落とすことができるのか。
現在の体脂肪率や1日の中でダイエットに使える時間などによって異なりますが、大体10Kgほどが上限です。
ただし、少々無理をしないと達成できないので多くのものを犠牲にする必要があるでしょう。
それでも1ヶ月で急激に痩せないといけないという理由がある人のために、今回、ボクサーの減量を基にしたダイエット法を紹介します。
目次
まずはじめに
今回は1ヶ月で10Kg痩せるダイエットの方法について紹介していきますが、
まずは注意点やダイエットの概要について話していきます。
1ヶ月ダイエットの注意点
前回は1週間で3~4Kgのダイエットについて紹介しました。
今回はこれより長期間ですがさらに過酷なダイエットです。
最初に断っておきますが、
今回紹介する方法はダイエットと呼べるほどまっとうなものではありません。
まっとうなダイエットというのは、以下のものを指します。
■まっとうなダイエットの特徴
- 健康・美容・日常生活に支障が出ない
- 筋肉の低下が最小限に留まる
- 水分ではなくきちんと脂肪がメインで落ちる
- 精神的な苦痛が少ない
- リバウンドしない
多くても1ヶ月で2Kg、
もっと言えば1ヶ月で1Kgくらいのペースでゆっくり痩せるのが理想です。
しかし、1ヶ月で5~10Kgも痩せるとなると、
上記の特徴は全てひっくり返ります。
■1ヶ月で5~10Kg痩せるダイエットの特徴
- カロリー摂取・栄養補給がままならないので健康・美容・日常生活に支障が出る
- 急激な体重減少は筋肉の低下が著しくなる
- 脂肪で5Kg~10Kg落とすとなると4万~7万Kcalのカロリー消費が必要となり非現実的なので、落とす体重は水分メインになる
- 目標達成後は高確率で元の生活に戻ってしまい、急激な体重減少による代謝の悪化と相まってリバウンドは必至
1ヶ月で10Kgとなるとプロボクサーの減量と同程度です。
(ボクサーによっても減量の大小はありますが)
それくらい生半可なものではないということを頭に入れておきましょう。
この記事の趣旨は「こうすれば1ヶ月で10Kg痩せる」というものよりも、
「ここまでしなければ1ヶ月で10Kg痩せるのは不可能」というものですからね。
上記のデメリットは承知の上で、
“どうしてもここまで痩せないといけない理由がある”という場合だけ読み進めて下さい。
それ以外はこちらでまっとうなダイエットを実践しましょう。
1ヶ月ダイエットの概要
続いて、1ヶ月で10Kg痩せるダイエットの概要について紹介していきます。
大まかな方針としては以下の通り。
期間 | 運動の方針 | 食事の方針 | 目標体重減少量 |
---|---|---|---|
1週目 | 長時間の有酸素運動に慣れる | 低カロリー・高栄養なものをメインにカロリー制限、水分はしっかり摂る | -2.5Kg(計-2.5Kg) |
2週目 | 運動量・運動時間を多くする | 低カロリー・高栄養なものをメインにカロリー制限、水分はしっかり摂る | -1.5Kg(計-4Kg) |
3週目 | 運動量を維持する | 軽い食事に切り替える | -3Kg(計-7Kg) |
4週目 | 運動量よりも汗をかくことを優先する | 水分をほとんど摂らない | -3Kg(計-10Kg) |
ボクサーの減量をモデルにしています。
前半に“脂肪”をしっかり落とし、
後半は“水分”をメインに落とすというものです。
もっと具体的に言うとこのようになります。
- 前半:カロリー収支をできるだけマイナスにする
- 運動:有酸素運動でカロリーを多く消費する
- 食事:カロリーをできるだけ抑えるが、高栄養のものを意識する
- 後半:水分を多く落とし摂取量を抑える
- 運動:汗を多くかく
- 食事:水分をあまり摂らず、高栄養でも軽いものを摂る
ちなみに、運動は有酸素運動(ウォーキングやランニングなど長時間行える運動)だけで、
無酸素運動(筋トレなど)は一切行いません。
今回のような、1ヶ月で極限まで体重を落とすというダイエットにおいて、
筋トレは意味が無いどころか、逆効果になるだけですからね。
世の中には「筋トレをすると基礎代謝が上がる」などというデマが広まっていますが、
ダイエットにおける筋トレの本当の意味は「筋肉の減少を最小限に留める」というところにあります。
ダイエット中はどう頑張っても筋肉は減るものなので、
それを抑えて体脂肪の減少割合を増やすには筋トレが重要なのです。
詳しくはこちら:ダイエットに筋トレは必要?男性・女性問わず筋トレをするべき理由
しかし、急激に痩せるとなると筋肉の減少は抑えられないですし、
栄養が摂れないのでむしろ筋肉を無駄に損傷するだけです。
筋肉痛や疲労により有酸素運動の量が減ることを考えるとマイナスにしかなりません。
さて、前置きが長くなりましたが、
具体的に1ヶ月ダイエットの運動・食事メニューについて見ていきましょう。
1ヶ月ダイエットの方法
1週間目
■運動について
- 運動の習慣がない場合は体力をつけて運動に慣れることが最優先
- ウォーキングや軽いジョギング、自転車などがおすすめ
- 運動は毎日続けるために無理をしない
- 継続できる範囲でできるだけ運動量(運動時間や歩く距離)を増やすことだけを考える
運動の消費カロリーは食事のカロリーに比べて低いため、
短期間のダイエットでは重要性は低いのですが、
1ヶ月も積み重ねるとバカになりません。
運動に限りませんが、落ちる脂肪の量はカロリーの収支によるので、
重要なのは1ヶ月間の運動量です。
そして運動量は1日おきなど間隔を空けてまとまった時間行うよりも、
毎日少しづつでもコツコツ積み重ねていく方が多くなるものです。
しかし、運動の習慣がない人が急に長時間運動しても筋肉痛や疲労から続かないので、
まずは負荷の軽いウォーキングや自転車などで体力をつけましょう。
毎日続けられないような運動はオーバーワークです。
ちなみに、
- 「有酸素運動は20分以上じゃないと意味がない」
- 「有酸素運動は朝や食前など血糖値が低い状態で行うと脂肪がよく燃える」
- 「有酸素運動の前に筋トレを行うとダイエットに効果的」
- 「有酸素運動は心拍数によって効果的に脂肪が燃える」
などと言われますが、これらは全て嘘または誇張であり、
ダイエットのおいて一切役に立つことはありません。
毎日続けられる範囲で、
どれだけ運動量(時間や距離)を増やせるかということだけ考えましょう。
■食事について
- 脂肪を燃やすために水分はしっかり摂る
- 食事は1000Kcal未満に抑える
- 食事の回数は1回または2回がおすすめ
- 低カロリーな食品でたんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維などを極力意識的に摂取する
- 糖質・脂質は極力控える
- 野菜や海藻をしっかり摂る
- 特にたんぱく質は重要なので、低カロリー高タンパクな食品を積極的に摂る
- ささみ
- 皮なし鶏胸肉(サラダチキン)
- 牛・豚ヒレ肉
- 大豆食品
前半の食事において重要なのは、
カロリーを極力落とすこと、そしてその上で栄養をしっかり摂取することです。
そのために重要度の低いカロリー成分である、
“脂質”と“糖質”がなるべく少ない食品を選ぶのが重要になります。
食事の回数は増やしたら代謝が増える説、逆に減らしたら代謝が増える説など、
食事回数がダイエットに影響を及ぼす言われることもありますが、
これらも全くのデタラメです。
食事の回数は増やしても良いのですが、
減らした方が結果的に1日の食事量も減らせる場合が多いので、
1日1食または2食がおすすめ。
ただ、食事回数を減らす分食品の数が減って栄養が偏りやすいので、
その点だけ注意が必要です。
そして、栄養については、
たんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂るようにしましょう。
重要な栄養素やおすすめの食品についてはこちらにまとめています。
2週間目
運動や食事の方針について、1週目と大きな違いはありません。
ただ、継続していても徐々に落ちる体重は減ってくるのが普通なので、
それでも焦らないことが大事です。
■運動について
- 体力に合わせて運動量を増やす
- 継続できる範囲でできるだけ運動量(運動時間や歩く距離)を増やすことだけを考える
運動不足だった人も運動を続けていると徐々に余裕が出てくると思うので、
それに合わせて運動量を増やすのが重要です。
2週目も1週目同様、できるだけ毎日行いましょう。
■食事について
- 1週目と全く同じ
- 体重の減少量は落ちてくるが焦らず、食事の量は増やしたり減らしたりしない
食事については特に補足することもなく、
1週目の食生活を継続していきましょう。
3週間目
■運動について
- 体力に合わせて運動量を増やす
- 継続できる範囲でできるだけ運動量(運動時間や歩く距離)を増やすことだけを考える
運動についてはこれまでと同様に行っていきましょう。
まだ脂肪を落とす段階なので、
カロリーをできるだけ消費するために運動量を増やすのが重要です。
■食事について
- 軽くて栄養が豊富なものに切り替える
- 塩分や糖質を控えめにする
- 水分は普通の摂取しても構わない
カロリーを控えめにしても体重は落ちにくくなってきたと思いますが、
それを実感するようになったら軽い食事に切り替えます。
そうするだけでまた体重減少が加速していくはずです。
おすすめは“カロリーメイト”です。
カロリーメイトには以下のようなメリットがあります。
- 水分が少なく軽い(1本20g)
- カロリー計算が楽(1本100Kcal)
- ビタミン・ミネラルなどの栄養が豊富
また、徐々に水分を落とすために、
体内の水分量に関わる塩分や糖質はを減らすように心がけましょう。
4週間目
■運動について
- 運動量はこれまでよりも抑えて構わない
- 汗をかくことを優先する
最後は脂肪よりも水分で体重を落とすのがメインになるので、
厚手のウェアを着たりしてできるだけ汗をかくようにしましょう。
体力的にもきつくなりあまり力も出ないと思うので、
運動量はこれまでよりも少なくて構いません。
サウナや半身浴なども運動ほど体力を使わないのでおすすめです。
■食事について
- 引き続き軽いものを食べる
- さらに塩分や糖質を控える
- 水分を極力摂らないようにする
- 飴やガムで気を紛らわせる
食事や飲みもので摂る水分を減らし、
体内の水分量を減らすのが重要です。
食事に関しては引き続きカロリーメイトなどの軽いものを食べます。
塩分や糖質も体内の水分に関わるのでほとんど摂らないようにしましょう。
そして最後は飲み物の量を減らすのが特に鍵となり、
のどの渇きを紛らわすために飴やガムなどを利用します。
1ヶ月で10Kg痩せるにはここまでしないといけない
以上が1ヶ月で10Kg痩せるためのダイエットです。
もしかしたら想像していたものと大きく違ったかもしれませんが、
1ヶ月で10Kgとなるとこれほどのことをしないといけません。
これを実践するには並々ならぬ意思が必要ですし、
仮に成功したとしても恐らくすぐに体重はもとに戻ってしまうでしょう。
ボクサーが試合が終わったらほぼ確実に体重がもとに戻るのと同様です。
今回紹介したダイエット法に限らず、
過酷なダイエットというのは「短期間で体重が減る」というメリットを除けば、
デメリットしかありません。
「絶対に1ヶ月で10Kg痩せないといけない」という場合でもなければ、
実践すべきではないと思っています。
まっとうに痩せたいという場合、
まずはこちらでしっかりダイエットの知識をつけ、
じっくりと体重を減らしていくのをおすすめします。