「夜遅い時間に食事をすると太りやすい」
「寝る前に食べたものは脂肪になりやすい」
このように、夜食は脂肪になりやすく太りやすいのでダイエットに悪いと言われることがよくあります。
これを無条件で信じてしまっている人は多いのではないでしょうか?
実はこれは全くの嘘です。
食事をする時間帯・タイミングに関するダイエット法はいくつもあるのですが、これらはいずれもインチキダイエットです。
食事の食べ方でカロリーが変わるわけでもないので、結局は「いつ食べるか」ではなく、「何を」「どれだけ食べるか」というのが重要なのです。
今回はこのことについて解説していきます。
目次
夜食が太ると言われている理由
なぜ一般的に夜食が太りやすいと言われているのでしょうか?
それは主に以下の3点が挙げられます。
- 時間が遅くなると食事によって消費するカロリー(DIT:食事誘発性熱産生)が低くなる
- 夜は脂肪を蓄積させるたんぱく質「BMAL1」の分泌が盛んになる
- 夜は食べた食事のカロリーが消費されないので脂肪になりやすい
このようにいくつか理由を挙げられれば信じてしまいそうになります。
しかし、これらはいずれも嘘、あるいは誇張表現にすぎないのです。
「夜食は太る」は嘘だった!
夜食が太るというそれぞれの理論には突っ込みどころがあるのですが、
まずは根本的に夜食が太るが嘘だと言える研究結果を1つご紹介します。
以下の論文は、食事の大半を朝に済ませる場合と夜に済ませる場合とでの体重・体脂肪の減少量を比較したものです。
結論として、前者(朝食メイン)の方がわずかに体重は多く減ったが、
体脂肪率は後者(夜食メイン)の方が減ったとのことです。
また、夜食が太りやすいというそれぞれの理論についても言及していきましょう。
食事時間によるDITは無視できるレベル
時間帯によって食事で消費するカロリーが違うのは正しいのですが、
ほとんど誤差程度なのでダイエットに影響することはないでしょう。
以下は朝型の食習慣と夜型食習慣におけるDITの違いを検証した論文です。
参照:食事時刻の変化が若年女子の食事誘発性熱産生に及ぼす影響
3食を6時間遅く摂っても大体10Kcal強しかDITは変わりません。
なので、たった1食の夜食を別の時間帯に食べたところで、
数Kcalしか影響はないでしょう。
ダイエットにおいて時間帯によるDITの違いは無視できるほど小さなものだと頭に入れておきましょう。
BMAL1の分泌はダイエットに影響を及ぼさない
BMAL1は15時に最も分泌量が少なくなり、
22時~深夜2時に最も分泌量が多くなります。
なので、深夜に食べた食事が太りやすく、
昼過ぎに食べた食事は太りにくいと思いがちです。
しかし、実際に分かっていることは、以下の2点だけです。
- BMAL1は脂肪の蓄積に関係する
- BMAL1が時間帯によって分泌量に差がある
BMAL1の分泌量の違いで脂肪の増加量が違うという研究結果があるわけではないのです。
違いが合ったとしても、それがどれくらいなのかは分かりません。
実際に夜食が太りやすいというのは色んな研究で否定されているので、
少なくともダイエットに影響するほど大きいものではないことは確かです。
脂肪の増減はカロリー収支で決まる
同じ食事をしたのであれば、
時間帯に限らずほぼ同じ摂取カロリーになります。
多少栄養の吸収率は変わりますが、ダイエットに影響はありません。
また、前述しましたが、
食事時間が早いほど食事で消費されるカロリーは高くなりますが、これも誤差程度です。
つまり、食事時間の違いでカロリー収支はほぼ変わらないということです。
そして私達の脂肪の増減はカロリーの収支で決まるため、
食事時間の違いで脂肪の付きやすさに違いが生じることはありえないのです。
脂肪は過剰に摂取したエネルギーを蓄えるためのものですが、
食事以外の要因でエネルギーが突如発生することはありませんからね。
「いつ」より「何を」「どれだけ」食べるかが重要
結論としては、
『時間帯によって脂肪がつきやすさはほぼ変わらないので、それよりも食事の内容が重要』ということ。
夜食が太らないということではなく、
同じ食事なら夜に食べても朝に食べても太りやすさは変わらないということです。
結局はダイエットにおいてカロリーの収支が最も重要なので、
それ以外のダイエットの情報は鵜呑みにしないようにしましょう。
夜食の件以外にも、ダイエットにおいては色んな誤解が広まっています。
- 朝食を抜くと太りやすい
- 食事回数を減らすと代謝が悪くなる
- 糖質を摂らなければ太らない
- 血糖値を上げなければ太らない
- 太りやすさはGI値で決まる
- 有酸素運動は20分以上が効果的
- 有酸素運動は起床時や空腹時など血糖値が低い時に行うのが効果的
- 有酸素運動の前に筋トレを行うと脂肪がよく燃える
などなど。
これらのように、カロリーの収支以外がベースとなっているダイエットの情報は間違っているものばかりなのです。
間違った情報にだまされないように、
まずはダイエットの基本について身につけることをおすすめします。