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腹筋運動(上体起こし)は痩せる?消費カロリーとダイエット効果について解説

ダイエットにおいてウエストを細くしたいという人がやりがちな運動が『腹筋運動』です。
『上体起こし』『クランチ』『シットアップ』などと言われることもあります。(厳密にはクランチとシットアップは別物ですが)

腹筋運動をすればお腹の脂肪が落ちてウエストが引き締まると考える人は多いのですが、結論をはじめにいうと、腹筋運動はダイエットにあまり役立ちません。

カロリーはあまり消費しないので脂肪は落ちませんし、筋トレとしての負荷もいまいちです。

今回は腹筋運動の消費カロリーとダイエット効果について解説していきます。

腹筋運動の消費カロリー

運動にしろ食事制限にしろ、脂肪の増減はカロリーの収支で決まるため、
運動で脂肪を減らしたい場合はその運動の“消費カロリー”が最も重要なります。

では、実際に腹筋運動の消費カロリーについて見ていきましょう。

体重ごとの消費カロリー一覧

運動の消費カロリーは自分の『体重』『運動量(運動強度×時間)』で決まります。

体重ごと・時間ごとの腹筋の消費カロリーをまとめると以下の通り。

  • 体重50Kg
    • 1分間の腹筋運動:3.3Kcal
    • 5分間の腹筋運動:16.6Kcal
    • 10分間の腹筋運動:33.3Kcal
  • 体重60Kg
    • 1分間の腹筋運動:4Kcal
    • 5分間の腹筋運動:20Kcal
    • 10分間の腹筋運動:40Kcal
  • 体重70Kg
    • 1分間の腹筋運動:4.7Kcal
    • 5分間の腹筋運動:23.3Kcal
    • 10分間の腹筋運動:46.6Kcal
  • 体重80K
    • 1分間の腹筋運動:5.3Kcal
    • 5分間の腹筋運動:26.6Kcal
    • 10分間の腹筋運動:53.2Kcal

腹筋のやり方によって当然変わってきますが、
これは『ほどほどの労力の腹筋運動』の場合のカロリーです。

1分間で20~30回程でしょう。

腹筋を5分間やり続けて100~150回程行ったら、
ようやく20Kcal前後、飴玉1個分程のカロリーを消費するという計算です。

ちなみに、これら消費カロリーの計算は運動強度を表す指標である“メッツ”を用いています。

メッツとは

メッツとは運動強度の単位で、安静時(1メッツ)の何倍のエネルギーを消費するのかを表す指標となる。消費カロリーの計算に用いられる一般的な指標でもあり、以下の計算式を用いる。

消費カロリー(Kcal)=1.05×メッツ×体重(Kg)×時間(h)

参照:改訂版 『身体活動のメッツ(METs)表』

例)体重50Kgの人が1分間「程々の労力で腹筋運動:3.8メッツ」をした時の消費カロリー

⇒1.05×3.8×50(Kg)× 1/60(h)=3.325Kcal

腹筋運動の場合、楽な労力で2.8メッツ、程々の労力で3.8メッツなので、
腹筋をしている時は安静時よりも2.8~3.8倍のカロリーを消費するということです。

腹筋運動はカロリー消費効率が悪い

腹筋運動の運動強度を他の運動と比較すると以下のようになります。

軽めのウォーキングと同じくらいということです。

しかし、ウォーキングを5分やるのと腹筋運動を5分やるのとでは全くきつさが違います。

これは、ウォーキングが有酸素運動かつ全身運動であるのに対し、
腹筋運動は無酸素運動であり部分的な運動だからというのが理由です。

有酸素運動は長時間行えるほど負荷が軽い運動を指し、
無酸素運動はすぐに力尽きてしまう運動で、主に筋トレを指します。

詳細:有酸素運動と無酸素運動の種類

同じ時間行うのであれば無酸素運動のほうがエネルギーを必要とするのですが、
腹筋運動の場合主に腹筋だけにしか負荷がかからないので、必要なエネルギー量自体少ないのです。

ウォーキングの場合は全身を使うので負荷が分散されて楽に感じるというわけです。

単純に全体重を動かすよりも、上半身だけを持ち上げる方がエネルギーは少なくなるということでもあります。

腹筋に限らず、
基本的に筋トレなどの無酸素運動は長時間続けられないのでカロリーはほとんど消費しないと覚えておきましょう。

懸垂や腕立て伏せ、腹筋ローラー、バーベル・ダンベルを使った筋トレ、そしてスクワットも同様です。

これらは筋肉に負荷をかけるという点では効果的ですが、
カロリーを消費して脂肪を減らすのには極めて非効率なのです。

腹筋運動はダイエットの役に立たない?

では、腹筋運動はダイエットにおいて役に立たないということかというと、
ほぼ“YES”と言っていいでしょう。

カロリーを消費するので全く意味が無いというわけではありませんが、
もっと良い運動はいくらでもあります。

何より、多くの人は腹筋運動のダイエット効果について勘違いをしています。

腹筋運動に関する誤解
  1. 腹筋運動をしたらお腹の脂肪が優先的に落ちる
  2. 腹筋を鍛えたらお腹が引き締まる
  3. 腹筋を鍛えると基礎代謝は増えて痩せる体質になる

これらは全て誤りです。

間違い1.お腹の脂肪が優先的に落ちるというわけではない

「運動で動かした部位、負荷をかけた部位の脂肪が優先的に落ちる」

このように思っている人は多いですが間違いです。

食事制限にしろ運動にしろ、
脂肪が落ちる際は全身の脂肪が関わってきます。

脂肪分解に関わる酵素やホルモンは血液によって全身を循環しているわけですからね。

狙った部位の脂肪を落とすなんて医学的に不可能なのです。

いずれにしても、腹筋運動は消費カロリーが少なく脂肪燃焼効果自体ほとんど見込めません。

間違い2.腹筋をしてもお腹は引き締まらない

「腹筋を鍛えたらお腹が引き締まってウエストが細くなるのではないのか?」

この考えも間違いです。

腹筋運動で鍛えられる筋肉は主に、
腹直筋という縦に繊維が走っている筋肉です。

いわゆるシックスパックですね。

腹直筋

脂肪が少ない人がこの部位を鍛えたら、
6つに割れた腹筋が立体的に現れて見栄えの良いかっこいい体になります。

しかし、この筋肉は内側に締め付ける効果はほとんどありません。

それに腹筋運動は筋トレとしては負荷が小さいため、
十分な筋肉をつけるのは困難ですしね。

お腹を引き締めるには、
腹筋の深層部に位置し、横に繊維が走っている“腹横筋”を鍛える必要があります。

腹横筋

この筋肉は腹筋の中でも特殊で、
腹部を圧迫することで負荷を与えて鍛えることができます。

主に“ドローイン”というトレーニングが代表的です。

詳しくはこちらにまとめています。

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ただ、いずれにしてもお腹に脂肪がある状態だと十分に細くならないので、
カロリーコントロールで脂肪を減らす必要があります。

間違い3.腹筋を鍛えても基礎代謝は増えない

「筋トレで筋肉がつけば基礎代謝(何もしないでも消費するカロリー)が増え、自然と痩せる体質になる」

このように言われることがよくあります。

しかし、これも間違いです。

筋肉を増やすには、
『ハードな筋トレ』+『高カロリー・高栄養の食事』が必要です。

腹筋運動程度では筋肉を増やすのは困難ですし、
何より、脂肪を減らしながら筋肉を増やすというのは不可能なのです。

筋肉を増やすには少なくとも消費カロリーを上回るカロリーを摂る必要があり、
脂肪が増えるのも覚悟しないといけません。

筋肉を増やしたとしても大幅に基礎代謝が増えるわけではありませんし、
脂肪を落とす過程で基礎代謝は減っていきます。

つまり、「ダイエット」と「基礎代謝を増やす行為」というのは真逆のことなのです。

基礎代謝を増やす方法は筋トレ以外にも取り上げられることがありますが、
いずれの方法も例外なくインチキダイエットと断言できます。

詳しくはこちら。

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あとがき

以上、腹筋運動のカロリーやダイエット効果についてでした。

カロリー消費効率は悪いですし、ダイエットにおいてあまりおすすめできる運動ではありません。

筋トレ目的でやる場合は、
何十回もできるようであれば負荷が軽いので、負荷を重くするよう工夫する必要があります。

ダンベルをもった状態で行ったり、
傾斜で足を高い位置に固定して行ったり、といったものです。

ただ、腹直筋を鍛えるのであれば腹筋ローラーの方が遥かに効果的ですし、
脂肪を落としたいのであれば全身を使う有酸素運動のほうが効率的です。

室内で行える手軽な運動でも、腹筋よりも良い運動はいくらでもあります。

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著者プロフィール
テク

テク

元ボクサー/ダイエットアドバイザー
試合の度に2週間で6Kgの減量をしていた元ボクサー。 元来の『食べることは好きだけど面倒な運動は嫌い』という性格がたたり、引退後は10Kg以上増量。 正しいダイエットの知識を身に着けた今では、毎日好きなものを食べて体脂肪率10%台前半を維持。 Twitter(@yasetech)ではダイエットに役立つ情報を配信中。
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